50人目 久保憂希也さん:株式会社インスパイアコンサルティング

会社名:株式会社インスパイアコンサルティング
URL:http://ameblo.jp/toco2tax/
公開日:2010年08月23日


今回の旅は、株式会社インスパイアコンサルティングの久保憂希也さんです!

元国税の経営コンサルタントとして、
過去の経歴がとても気になるところなのですが、
まずは現在のお仕事等、教えてもらえますでしょうか。

現在は3つの柱となる事業をおこなっております。
1つは、中小、大企業も含めて企業のコンサル。
2つ目が税理士さんに対する事業。
私が元国税といった、変わった経歴なので、
税理士さんに対して教えるというのをやらせていただいています。
主に税理士さんに対してコンサルをさせていただいたり、相談に乗ったり。
セミナーをさせていただいたりといった活動です。
3つ目が一般的なビジネスマンに対するセミナー。
コンテンツ販売、本も出していますので本の販売とかですね。

どうしても元国税という経歴についてお聞きしたくなります。
どういったきっかけで国税に?そして、国税を辞めて経営者へ?

根本的な話をすると、
実は、大学に入った時に、目標を完全に見失ったんですね。
大学に入る事が目標で、
大学に入ってから何もやらないわけ。
毎日麻雀とか、バイトやるか、ゴルフやるか、女性と遊ぶとか。
そんな自堕落な生活。
そして、大学も中退しているんです。
1年生を2回やって2年生を2回やって中退。
まぁ結局、4年はいたんですけど。
働くということを考えた時に、
どうせ働くんだったらスペシャリティが必要だと思ったんです。
僕、慶応なんですけど、
「あなた何されているんですか?」
って、慶応の先輩に話を聞くと、
トヨタとか、ソニーとか、言うわけですよ。
僕はそういうことは聞いていなくて、
何の仕事をされているんですか?
と聞いているにもかかわらず、会社名を言う。
これはおかしいですよね。
その会社がなくなったら終わり。
って、ことじゃないですか?
本来的に飯を食うというのは、
自分の付加価値、スペシャリティに対してお金を払っていただけるのであって、
間違っても、
「居て、頑張ること」
にお金を払っていただけるわけではないんです。
じゃあ、どんなことだったら?と考えたら、会計とか税務。
「お金」だろうなって。
そう漠然と考えていた時に、
親が会社やってたんですけど、実家に、税務調査が入った。
それをたまたま夏休みに帰ったときに見た。
こういう職業があるのか!と。
だから中退したんです。
スペシャリティを考えた時に、
一生公務員で居たくて公務員になったわけじゃなくて、
スペシャリティを得るために国税に入ったんです。

かなり難しいのではないのですか?

勉強はしましたね。
公務員の勉強を半年して、1発で受かって。
公務員でずっといようって思っていなかったんで、
入った瞬間に上司に、
「3~4年で辞めます」
と言ったんです。
辞めるって言うのは簡単。
ただ辞めるのでなく、2つのポイントがあって、
1つは3~4年の間に国税の仕事をほとんど覚えてしまうこと。
普通だったら10~20年かかってしまうかもしれないことを。
もう1つは社会人としての基礎知識が全くないので、
とにかく勉強をすること。それこそ寝ないで。
凄く勉強して、凄く働いていましたよ。
ずっと1日睡眠時間3時間。土日も3時間でしたね。
それが23歳~27歳くらいですかね。

今回のテーマが29歳というところなんですけど、
その頃は何をされていましたか?

営業会社の光通信というところにいましたね。
29歳の頃は一番、イケイケドンドンだったんじゃないかな。
僕はコールセンターを運営している会社の、
ホールディングになっているところの役員に29歳の頃、なっていましたね。
その前から子会社の取締役とかやっていました。

僕も昔、光通信さん関連会社で営業を修行した事がありますが、
なかなか厳しい会社ですよね。何故、光通信に?

国税を辞めて次にやりたいと思っていた選択肢が2つありました。
1つはコンサルティング会社に行くこと。
外資系の有名企業の説明会にも行きました。
ただ、最終的に、戦略系と言われる外資はちょっと違うなと思ったんですね。
今も思うんですけど、
コンサルティング会社に働いたからといっても、
サラリーマンじゃないですか。
事業をしたことない奴にコンサルは出来ない。
そう思ったんです。
人って何でもそうだと思うんですけど、
やったことのないことに関して本当に痛みとかわからないと思う。
そういう根本論からするに、
コンサル会社をやりたいからとりあえず修行しました。
というのは、これはアホだなと。
それで、光通信のバリバリの事業会社に入らせてもらったというのが経緯ですね。
すごく大変でしたけど、でも本当の事業というものを教えてもらった。
自分で開拓し、ビジネスモデルを自分で作る。
会社名を自分で決め、サービス名を自分で決め、
計画して実行する。
そんなこと、やったことないですから。
大変でしたけど、面白かったですよ。

最初から最後まで事業の流れを一通り経験できたというのは、
もの凄く価値ある経験ですよね。

そうなんです。
そして、そこでバブリました。
普通、新規事業なんて1勝9敗の世界。
その1勝が1戦目にきたんです。
これが8戦目にきたって、
7戦負け続けた人って信用を失っているじゃないですか。
それがたまたま1戦目にきたから、
何でもやらせてもらえましたね。
最初に当たれば、あいつに任せておけば何でも出来るんだ。
って、みんな勘違いする。
よく人に「きついでしょ?」とか「辛かったでしょ?」とか、
「凄いですね」とか言われるんですけど、
いい会社ですよ。
ものすごく考え方がシンプルなんです。
実力主義。
学歴、年齢、性別、国籍、宗教全く問わない。
年齢、性別なんてどうでもいい。
学歴なんて誰も見ていない。
結果を出せるか出せないかだけ。
ものすごくシンプル。
僕は素晴らしい環境だったと思う。
普通、何年入社とか、学歴がどうとか、
派閥がどうとかってあるじゃないですか。
関係ないですよね。仕事に対して。
だから僕は好き、今でも好きですよ。

では、29歳から30歳になる、
お誕生日の思い出を聞いてみたいんですけど。

僕は誕生日を意識したこと、働き始めてからはないです。
3月15日生まれなんですけど、
税務署時代はその日、確定申告の最終日だったんです。
365日の中で最も忙しい時。
仕事が終わるのが、1時とか2時とかに終わって、
そこから打ち上げで飲みに行くわけ。
気がついたら朝、駅前で寝てたり。
毎年繰り返していたので、誕生日という概念がないです(笑)
だから29~30歳になったときの誕生日っていうと、
3年前の3月ということなので、2007年の3月。
光通信でバリバリやってた頃ですけど、
凄く働いていたと思うので、全然記憶ないです。
誕生日なんて意識しないですよ。

29歳から30歳になること。
色々と切り替えのタイミング、スタートの時だとも思うんです。
30代に入るというところで、何か意識の変化というのはありましたか?

僕の場合は29歳から30歳にビジネスの一線をおいたことはないですね。
僕はずっと昔から、35歳を常に設定しているんです。
いつも不思議だと思うのが、
例えば転職雑誌を見てもどこの会社も35歳までと書いてあるんですよ。
ということは、働き始めて10年ちょい。
35歳がポイントなんです。
良いとか悪いとかじゃなくて、実際そうじゃないですか。
だから30歳を意識したことはなくて、
35歳を常に意識しています。
今も意識しています。
僕30歳で独立しているんですけど、
35歳まで残り、5年あるじゃないですか。
その5年のプランニングしか考えていないんです。
未だに40歳のこととか45歳の事とか考えていない。
常に35歳しか見ていないので。
35歳までに会社自体、僕がいなくても成り立つ事業にはしたいです。
今は中心で動かないと無理っていう状況ですけど、
それは多分会社じゃないですよ。
個人事業主に補助しているような形。
一人一人が稼げているかといえば稼げていないですよね。
それは早く脱皮をしないと駄目だろうなというのが35歳。
僕の机の後ろに色々な張り紙があるんですけど、そこに
「35歳で死ぬ」
「第二の人生はない」
って書いてあるんです。
僕が凄く思うのは、70歳まで生きるとか、65歳まで働くとか。
人間そんなこと考えたら働けないと思うんですよ。
あと20年あると考えたら、
19年後にやってもいいと思っちゃうわけじゃないですか。
そんな意識で仕事していたら、僕は頑張れないです。
人間本当にいつ死ぬかわからないですし。
だから「35歳で死ぬ。第二の人生はない」って書いた張り紙があって、
その覚悟でやっています。

「長期的なヴィジョンをもつ事が大切」
と言われる方も多いと思うのですが、
その点についてはどう考えますか?

人によっては良いと思いますけど、
人間100歳まで生きる人もいれば、
30歳で死ぬ人もいるんです。
マラソンのように早く走れってゲームではないんですよ、人生って。
マラソンって42.195キロって皆平等。
でも、人生、42.195キロかなんて分からないです。
僕の場合は7キロかもしれない。
マラソンと同じペースで走ったら人生後悔する。
早く走っておけばよかったって。
人生逆引きでないと駄目。
みたいなというのはホントよく分からないです。
僕はそういう考え方が人生を薄めているなって本気で思います。

人生を薄めて生きている。
昨今、多いのかもしれないですね。

僕がすごく微妙だなと思うのは、
僕と丁度同じ年位の人って、緩い生き方を提唱する人が多いんですよ。
「いいじゃん、好きなことをやっていれば」
って言う人、多いんです。
ワークライフバランスとか、
色んな言葉を使いながら言うんですけど、
それはそれでいい。
でも、だからといって、
仕事に手を抜くことは別問題だろ?
って思うんですよ。
やるんだったら全てに全力でやるべきだと思うんですよね。
国税の時に先輩に教えてもらって、
凄いなと思ったのは、振り子の法則。
振り子のように、遊びが激しいやつは仕事も激しい。
仕事が激しいやつは遊びも激しい。
人生を真剣に生きているかどうかだけの話なんですよね。
緩い生き方っていうのは間違っているとは思わないし、
それがそれでいいんだったらいいんですけど、
真剣でなければ、薄めて生きているだけだなっていう風に思います。
あと、自分探しとかいって、
家で本読んで考えてたって、
結論なんか出るわけがない。
結果を「自分探し」として求めてるくせに、
そこのプロセスを何もしないわけじゃないですか。
そしたら無理ですよ。
行動を起こした人にしか結果って何も起きないんで。

行動を起こす。というのは僕もすごく大切な事だと思います。
久保さんは、今まで、葛藤だったり、苦しい思いっていうのがあると思うんですけど、
その中で、1歩踏み出すために自分なりの工夫とかなにかあるのでしょうか?

人生で立ち止まったのは大学1年生から中退する直前ぐらいまで。
結局、3年半立ち止まった事があるわけ。
僕は今でも思いますけど、多分、その間、1歩も成長していない。
むしろ退行しているんです、人間として。
ものすごく怠惰になっていましたし、目標がなかったですし。
そんな時って、キレイ事ばかり考えるわけ。
先輩と話して、トヨタやソニーで働いているっていうのを馬鹿だなって思ったし。
馬鹿だなって思いながら、
自分自身が何をやっているのかといえば何もやっていないわけ。
で、思うだけじゃ何も起こらないんだ。
って気づいたんです。
3年半かけて。
何かを起こさないと何も人生変わらない。ってね。
皆、正解を求めすぎる。
踏み出さないことが最も退行なんです。
飛び出して、進み始めて、違うなって思ったら方向修正すればいいだけの話。
極端に言えば、戻っても良い。
僕は3年半立ち止まっていた。
そりゃあアホですよ。
どこかに歩いて行けば、
地平線の向こうにオアシスが見えてきたりとか、
人影が見えてきたりとか、
木が見えてきたりとかあるかもしれないのに。
何もアクションを起こさないっていうのはそれだけで死んでますよね。
僕は行動する時、むやみやたらに正解は考えない。
思った瞬間に絶対動く。
人間だから打算的には考えますけど、
行動しないリスクの方が高いと思っています。
多くの人は、行動する前にリスクを語る。
起業だって、「したい」って思っているにも拘らず、
起業しないってことは、自分にとってのリスクですよね。
お金以前の問題として、死ぬ時に絶対後悔しますよ。
100%後悔します。

今まで色々と行動を起こした中で、
どん底、これはやばいな。って経験はありますか?

目茶目茶ありますよ。死に掛けたことは何回もあります。
会社を起こしてからもどん底は2回ありますし。
例えば、銀行から借りれるはずのお金が借りれず、
3日間で1,000万円を集めなければならなくなったことがあって。
結局そんなの集まるわけない。
で、支払い期限の前日に大阪のクライアントの50云歳の方に電話したんです。
「1,000万円貸してくれ」
って。自分のお客様に。そしたら
「金を貸してもお前は成長しない」
「ビジネスっていうのは、
金が本当に必要な人に裏切られたりとか、
そんなのはいくらでもある。
東京で働いていれば1日に100件ぐらい毎日起こっている。
だから実際お前みたいなのは苦しいとは思わない。
だから貸さない」
そして、その時にアドバイスを受けたのは、
「正直に言ってこい」と。
契約捺印した相手方に
「1,000万用意できませんでした」って。
最後に言われたのは、
「殺されるわけじゃないでしょ?」
って。
それで、開き直って、翌日、払えません。と話に行きました。
そしたら、案外あっさり
「しょうがないね」って。

思っていた以上に、意外とあっさりだったんですね。

そんなもんだと思うんです。
僕は、自分の父親が自殺しているんです。
経営者だったんですけど。
物事を真面目に考えすぎて。
払えないものは払えないし、
無理なものは無理だし、
できないものはできない。
それはしょうがない。
ある種の開き直りが大切なんだなとわかった。
やるだけやったけど、出来なかったとか、
無理だった時は開き直るしかない。
ただ、開き直るのが早いやつはアホですけど(笑)

~~~同行サポーターからの質問ターイム!~~~
名刺交換をしていると
九分九厘の人は「○○会社の○○部長」って、
自分じゃなくて会社を売っているような、そんな気がしてならないんですけど。
久保さんにとって、会社っていう肩書きを抜いた自分っていうのは
どんな自分だと思っていますか?

社長であろうと、なんであろうと、
ビジネスをしている以上、
1人1人が金を稼げないとおかしい。
ユニクロの柳井さんも言ってますけど、
「出店したときに、自分の金で出店したと思え。」
「全員個人事業主だと思え。」
ってね。
ほっとくと全員乗っかってくるんですよ。
社長だからというのではなく、
ビジネスパーソンというのは全員、
自分で稼げないとおかしい。
でないといる意味ないじゃないですか。
存在自体意味ないですよね。
社長だからブランディングしなきゃいけないとはあまり考えていないんです。
僕はどんな立場であっても、
人脈形成だったり勉強の付加価値をつけたりっていうのは、必要だとおもってる。
社長だからって頑張ってもないですし。
昔からやっているつもりなので。

セミナーもやってらっしゃるということで、
受講生さんも色々いらっしゃると思うんですけど、
受講生さんにこれだけは言っておきたいってことはありますか?

セミナーの内容によりますね。
セミナーの趣旨って2つしかないんですよ。
1つは知識。知らないと怖いよね。
でも知っていたらリスクを減らしたりとかできるよね。っていうこと。
もう1つはマインド。
僕は独立してからもそうですけど、
心が折れそうなときにセミナーを聞きにいってよかったなと思うことがあったので。
そういうのって中々人には相談できないですし、
自分が心折れそうって相談する相手って、
そんなにいないじゃないですか。
だからセミナーを聞きに行ったりとか、
趣旨としては、そういうマインド感、テクニックのどっちかでしょうね。
マインドは、温いですからね。
うちの社員も含めて温いですよ。
生き残るとかどうでもいいんです。
1人1人の人生って、死ぬ時に後悔したくないだけじゃないですか。
生きている理由ってただそれだけでしょう?
実行したら多分後悔しないんですよ。
失敗をして、反省はすると思うんですけど、
後悔はしないと思うんです。
結果として出来なかっただけじゃないですか。
そんなの人生の中で出来なかったことだらけ。
やったら後悔はないんですよ。
やらなかったときに後悔はあると思うんですよ。
だから僕は行動が怖くないです。

~~~同行サポーターからの質問タイム終了~~~
では、簡単な質問をいくつか。
今まで読んだ本の中で、一番のオススメは?

どういう立場かにもよりますね。
5年前に読んで僕が全然しっくりこなかったけど、
今読めば面白い本っていっぱいあると思いますし。
立場変われば読む本も違うので。

この人に憧れている、尊敬している方は?

いないです。僕は憧れを持ったら終わりだと思っているので。
所詮人生は自己満足じゃないですか。
自己を満足させるのに、
誰かになりたい!って目標を持った瞬間に、
もう負けだと思いますね。
オリジナリティがないってことじゃないですか。
勿論、いいとこどりはありますけど。

では、最後に、これから起業していきたいという人、
何かにチャレンジしようと思ってる読者の方
に向けて、何かヒントだったり、アドバイスがあればお願いします。

まず、起業ということだけに関して話すと、
「知っているか、知らないか」
って、結構でかいんですよ。
これは最低限っていうのがあるんです。
それはMBA取りに行くとかそんなレベルじゃなくて、
本を読むとかそんなレベルでかまわないので、
最低限の知識はあったほうがいいです。
あともう1つは、
思ったときというのがスタート地点なんです。
思って、スタート地点に立っても、
出発しない人ってほとんどなんです。
思ったときにやらないと人間って後悔するんですよね。
お金を貯めて、知識もためて、
人脈も出来たらスタートしようという馬鹿がいるんですけど、
それは一生スタートしないです、言い切れます。
思ったときにやらないと無理なんですよ。
足りないものを言い始めたら全部足りないんです。
お金も足りなければ人脈も足りなくて知識も足りないんです。
逆で、足りないからやるんじゃないですか。
人生足りていればやらないですよ。
そこは間違っちゃ駄目だな。
日々是鍛錬。
思ったらやれ!ですね。

今日はどうも有り難うございました!