51人目 岡本達彦さん:有限会社アカウント・プランニング

会社名:有限会社アカウント・プランニング
URL:https://1ap.jp/
公開日:2010年08月27日

今回の旅は、有限会社アカウント・プランニングの岡本達彦さんです!

まずは、現在のお仕事を教えてください。

販促コンサルティング会社を経営しています。
肩書きは、「販促コンサルタント」です。
会社の事業は大きく分けると、
コンサルティング事業とセミナー事業、執筆事業の三本柱です。
コンサルティング事業では、様々な業種のコンサルティングをしています。
変わったお客さんでいうと、
鳥取の漁師さんが自分で
獲ったおいしい魚をもっと世の中の人に食べてもらいたいという想いから
ホームページで通販をはじめたのですが、
どう作れば売れるようになるかというアドバイスをしています。
セミナー事業では、
良い物を持っているけど、どう伝えればいいかわからない。
といった悩みを持っている会員さんに教えてあげて欲しいという、
全国の商工会議所さんや商工会、
銀行関係からセミナーの引き合いが多いです。

本も出版されていますよね。

『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法―チラシ・DM・ホームページがスゴ腕営業マンに変わる!』という本を出しています。
この本は一言でいうとマーケティングの本でありながら、
マーケティングの知識がなくても売れる広告が作れるようになる本です。

三本柱のお仕事。20代の頃から
現在のような仕事をしていたのですか?

いや、全然。
今の会社をつくったのが33歳の時ですが、
それまではいろいろなことをやっていました。
最初はサラリーマンだった父親の苦労しているのを見て
「サラリーマンではなく、将来は自分で会社を興そう」
と決め、会社を興す為に必要なノウハウを身につけようと
経営コンサルティング会社へ行って、
経営のノウハウを学んでいました。
しばらくそこで働いていたのですが、
ある時クライアント先の一社である建築設計事務所の所長さんから
「岡本君、うちに来ないか?」
と声をかけてもらい、
設計事務所なら将来的にも独立しやすそうだと思い転職しました。
そこの設計事務所は大手ハウスメーカーから設計の依頼が来るくらい
とても優秀な設計事務所だったのですが、
ある時、設計の仕事だけでは売上が増えないという事で、
自分たちで家を建てるお客さんを見つけようと
200万円かけてチラシを作ったのです。
200万円もかければ相当な注文が入ってくるだろう。
と、思ってみていたのですが、
注文はおろか問い合わせも一件もありませんでした。
この時、
「いくら経営のノウハウを学んでも、お客さんを集められなければ意味がない」
と思ったのです。
そこで集客のノウハウを身につける為に
広告業界への転職を考えていた時に、
たまたま1年間アルバイトしながら海外で生活できる
ワーキングホリデービザの存在を知って、
海外の広告の勉強もできるし英語の勉強もできるという事で、
ビザを取得し1年間カナダのバンクーバーへ行ったのです。
ちなみにバンクーバーでは寿司職人のアルバイトをやっていました。

寿司職人をやったことで何か役に立ちましたか?

日本と違って向こうの寿司業界では下積み期間がありません。
入ったその日から現場に立たされます。
私が働いていた店はバンクーバーでも大きなお店だったので
夏場は観光客がたくさん来ます。
寿司なんて作ったこともない私でも
毎日200本くらい巻物を作らされていました。
当然最初は太い巻物になったり、
細い巻物になったりと悲惨でした・・・(汗)
でも、毎日200本ぐらい巻いていると、
1ヵ月もすると同じ太さの巻物が巻けるようになっていたのです。
この時に
「数をこなせば短期間で上手くなる」
と思ったのです。
これがすごくいい経験になりました。

帰国されてからは、何をしていたんですか?

バンクーバーで「数をこなすこと」の大切さを知ったので、
帰国してからは「集客」のノウハウを身につけるために
広告をたくさん作れる広告会社を探していました。
そこで色々な求人広告を見ていたら、
某車ディーラーの販促を専門にやっている広告代理店が募集をしていたので、
車業界ならたくさんの広告を作れると思って入社し、
その広告代理店でひたすら広告を作っていたんです。
それから何年もたったある日、知り合いの経営者から
「お客さんが来ないからチラシを作りたいんだけど。
作ったことがないからどう作ればいいかまったく分からないんだよね。
ちょっと相談にのってくれないかな?」
と相談があったのです。
そこで自分が車業界で学んだ広告の作り方をアドバイスしたら、
その商品がものすごく売れたのです。この時に
「自分の知っているノウハウは業界を超えて役に立つかも?」
と思ったのです。
それでその話をその経営者と話していたら、
「私みたいに自社の商品を上手に表現できなくて困っている人は
世の中にたくさんいるから、
世の中のためにやった方がいいよ」
と言われて、ハッと気付いたんです。
独立することは決めていたし、
経営ノウハウや集客ノウハウも学んだけれど、
何の仕事で独立するかがさっぱり決まっていなかったのです。
でも人の役に立てる事があるならそれで独立しよう、って。

その時は、すでに30代ですよね。

そうですね。

今回のテーマである「29歳」の頃は
どのような生活を送っていましたか?

ひたすら広告を作っていましたね。
本当に休みもせず、朝から晩まで広告作り。
徹夜もしょっちゅうでした。
でもそんな生活を送っていたからこそ、
広告のノウハウが体に染みついたんだと思います。
面白い話があって、
知り合いにマーケティングのコンサルタントがいるんだけど、
彼と飲んでいる時に
「チラシの添削をしないといけないから、乾杯する前に1分だけ電話をさせて」
と断って、電話でクライアントにアドバイスをしたことがあったんだけど、
電話が終わると、彼が
「岡本さんって、すごいね。よく準備もせずに添削できるよね」
と言うんです。
「何で添削に準備がいるの?」
と、最初、彼の言う意味が分からなかったのです。
なぜなら、わざわざ資料を出してチラシの添削をしなくても
直感的に分かるようになっていたからなのです。
でも、広告業界にいなかった人からすると、
準備もせずにパッパと添削できることがすごい、という話になる。
毎日当たり前のようにやっていて気付かなかったけど、
「そうか、自分にはそんな強みもあるんだな」とわかったのです。

本当にとにかく広告を作る毎日だったんですね。

数をこなしていく事で、
体に感覚として染み込み意識しなくても出来るようになるって事は多いと思う。
逆に、頭でわかっていてもできないということもある。
例えば、ある大学教授によると
「バットでボールの中心から7ミリ下の部分を打ち、
バックスピンをかけ打球の角度が25度前後になるとホームランが打てる」
という理論は出ているらしいけど、
その理論を知ってもホームランを打てないのと一緒。
頭で分っているだけでは意味がないと思う。
頭で意識しなくても
体に染みついて無意識に出来るようになって
ようやく一人前になると思うのです。

体に覚え込ませるというのは大事なことかもしれませんね。

今の若い人は、
インターネットで検索すれば色々な情報を知ることは出来ると思う。
ただ知っているのと出来るのは全く別なので、
体に染みついて無意識レベルになるまで数をこなして欲しいと思う。
僕自身、29歳の時にひたすら広告をつくっていた経験が
今の基礎になっているので。
だから、30代になるまでは文句を言わずに
とにかくがむしゃらに何でもやれ!
と言いたいです。

29歳から30歳になる誕生日のことを覚えていますか?

誕生日だからというわけじゃないんだけど、
30歳で会社の役員になって、
そこでまたステージが変わった気がします。

変わったというのは?

役員になると月給制から年棒制になったり、
車も会社から貸与になったり待遇が変わるのはもちろんですが、
従業員の考えから経営者の考えに変わっていきましたね。

30歳になることに対して、
不安や焦りはありましたか?

特になかったですね。

過去のことについてお聞きしてきましたが、
これからのお仕事についてはどうですか?
今後のビジョンや目標について教えてください。

自分がお世話になっている販促業界に恩返しのようなことをしたいと思う。
例えば、「販促士」といった資格をつくること。
法律なら弁護士、税金なら税理士がいます。
販促なら「販促士」という資格があってもいいと思うのです。
お客さんのビジネスの良さを見出して、
それが伝わるように広告に落としこむ人。
販促の世界って感性も重要だと思うので、
なかなか難しいんだけど・・・(笑)

そのために何かされていることはありますか?

「日本販売促進協会」という協会を作って、
色々やっていこうと思っています。

実際に進んでいる話なんですね!

今は、本を出している人や販促に携わっている人たちと
「どういったノウハウがあれば安心してクライアントが販促の仕事を依頼できるか?」
その実践的なノウハウを検討している段階です。

「販促士」という資格ができたら、
なんだか世の中良くなりそうですね。

すべての会社、すべての人が販促を上手にできたら、
商品と人のマッチングは必ずうまくいくと思うんです。
販促士の資格を普及させる事で、
求める側と求められる側が共に、
最高の商品・サービス・パートナーを見つけられる社会ができたらいいと思います。

なるほど。有難うございます。
では、ここから、簡単な質問をいくつか。
20代での、どん底の経験は何かありますか?

特にありません。

では、成功した経験や自信を持てた経験は?

やっぱりカナダに行ったことですね。
海外に行くのも初めてで、
英語も話せなくて。
でも、行ったら何とかなったので自信につながりました。
いろんな人に
「よく(カナダに)行けたね」
と言われるけど、
行ってしまえば何とかなるものです。
自転車の旅も一緒だと思う。
多くの人は、やる前から無理だとあきらめちゃう。
僕はカナダでの経験があるから、
今でもだいたいは何とかなるだろうと思ってやっていまします・・・(笑)

僕も何かあってもどうにかなるって思えるタイプですね。
もし家がなくなっても誰かしら泊めてくれるだろうとか(笑)

そう。何かあっても何とかなるだろう。
と気持ちを切り替えられるので。

憧れている人はいますか?

父親です。

大好きな本はありますか?

大好きな本ねぇ。
本田宗一郎さんの事が書いてある本かな。
本田宗一郎さんは、
本当に現場主義なので尊敬しています。

販促の仕事をやりたいと思っている人や、
既に個人でやられている経営者の方も多いと思うんですが、
販促で売り上げを伸ばしたい時、
まず何からやったらいいんでしょうか?

簡単ですよ。
とにかくお客さんと聞くこと。
直接話が聞けない場合はアンケートを取る。
商品や会社ごとに強みがあるので、
まずはそれを理解しないといけません。
そしてその強みを喜んでくれるお客さんは誰なのか?
ターゲットを絞らなくてはいけません。

ターゲットを絞るんですね。

そうです。
これからは本当にターゲットを絞らないといけないのです。
たとえば、こってり系のスープがウリのラーメン屋が、
「うちはラーメン屋です」
とだけ言っていたら絶対にダメです。
なぜならそれだと
「こってりスープ派」の人も、「さっぱりスープ派」の人も来ちゃうからです。
「こってりスープ派」の人にとってはおいしくていいラーメンだけど、
「さっぱりスープ派」の人が来たら、脂っぽくてまずいと言われてしまいます。
「ラーメン屋です」としか書いてなければ、
店に合っていないお客さんも来てしまうのです。
すると不必要なクレームが出てしまい、
インターネットの口コミサイトなんかに
「あそこのラーメンは脂っぽくて食べられない・・」
と書かれてしまうのです。
だから最初から「こってりラーメン」と書いておかないといけないのです。
そういう打ち出し方が、
これからの時代はますます必要になってくるのです。
今はインターネットがある事で、
いい噂も悪い噂もすぐに広まります。
外国の観光地みたいに、
どうせ二度と来ないから騙して買わせればいい。
というビジネスは今後は通用しないでしょう。

これから起業したいと思っている若者たちに向けて、
アドバイスをお願いします。

「何でもやります!」
というのはあまりよくないと思います。
もちろん最初は経験の為に何でもやるのが良いと思いますが、
ある程度になったら、
自分が本当に喜ばせられる事に特化してやった方がいいと思います。
なぜなら世の中、
それぞれの役割分担があると思うからです。
医者でも脳の専門家、心臓の専門家、という風に、
自分の専門分野を突き詰めていった人がいた結果、
今まで治らなかった病気が治るようになったのです。
一般の社会でも同じで、
「あれもできます、これもできます」
と言って、結局どれも中途半端になるのはよくないとおもうのです。
お客さんに100点満点じゃない、
たとえば50点くらいの満足度しか提供できないぐらいなら
最初からやらない方がいいと思います。
今はインターネットが普及していて検索すればいろんなことが探し出せる時代。
中途半端なノウハウは誰も求めていません。
その道のプロが知っている裏技や、
自分ではできない経験についてなら知りたいと思います。
例えば、ママチャリで日本一周ではなくて、
ママチャリで東京の港区を一周しました。って言ったらどう思います?

「あっ、そう」
で片付けられてしまうでしょうね。

そうですよね。
自分でもやろうと思えばできますしね。

何か一つ、自分なりの工夫は必要ですよね。
大体のことはみなさんやっていますから。

中途半端なものは知りたくないけど、
「ママチャリで日本一周をした人」
はどんな経験をして、何を考えているのか。
ということなら知りたい。
どれだけ考えても自分の中からは絶対に出てこないことなら、
お金を払ってでも知りたいと思うのです。
そういうことを突き詰めて、
ビジネスにしていったらいいと思います。

これからの人たちにとって、
重要なことかもしれませんね。
そして僕自身もすごく参考になりました。
今日はどうもありがとうございました!

>>岡本さんの著書

「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法~チラシ・DM・ホームページがスゴ腕営業マンに変わる!~