26人目 杉田豊範さん:株式会社大丸製作所
会社名:株式会社大丸製作所
URL:http://www.daimaru-ss.com/info/
公開日:2010年05月11日
今回の旅は、株式会社大丸製作所 杉田豊範 さんです!
まずは、自己紹介を含めて、
現在どのようなことをされているのか
教えてもらってもいいでしょうか。
仕事は、製缶・板金・溶接の製造業です。
昭和44年に父親が創業したんです。
今期で41期目。
僕は2代目。
社長になったのは10年前になるのかな。製造業は去年すごい冬の時代でね。
去年期、製造業で黒字出していたら絶対悪いことしてる。
信用できないよ(笑)
そうなんですか。
製造業の業界が全然わからないのですが、
景気は上がってきそうなんですか?
もしくは、この不景気を打開していく策をとられてるのでしょうか?
製造業の中小さんっていうのは
大体B to B(企業 対 企業)なんですよ。B to C(企業 対 個人)っていうのはほとんどなくて。
そこで弊社の場合はバーベキューの鉄板、機材で
B to Cをはじめました。ここに関しては業績は右肩上がりですよ。
やっぱり色んなことチャレンジしてないと。
工場を構えているような製造業の場合、
積極的に動いて提案しているというイメージはないのですが。
製造業の賃加工って言うのは、
工場を構えていると、
仕事がくるのを待っている場合が多いわけ。製造業の社長さんの場合それに慣れてるから、
自分から色んな提案をしていくのが苦手な人が多い。だからそこを行ってきたのは良かったなと思います。
僕は製造業経営者の勉強会に若い頃から入り、
色々と鍛えこまれた。
多くの先輩経営者から学ぶことが凄く多かった。21歳の小僧の頃から、
創業社長たちのものすごいエネルギーとパワーを目の当たりにしてきた。
21歳だと、こき使われたり、
厳しかったんじゃないですか?
そうなんです。
みんなものすごく厳しいわけ。たたき上げの経営者だから。
歯に衣を着せぬ物言いで、バンバン言われる。「前に出て喋れ」
「何だそれは!」ってね。もう半べそ状態。
そういった中で色々と学んできたというのは
すごく僕にとっては財産なんです。
では、29歳の頃を振り返って。
こんなことをしていたなーという思い出はありますか?
僕、空手をやっているんですけど、
選手は30歳で現役を引退したんです。
一時は国体の神奈川の強化選手。
だからその頃は空手ばっかりやってた。
昼休み道場行って、
また仕事終わって道場行って。
多い日は1日8時間くらい練習してた。
仕事しながら、1日8時間の練習ですか!?
なにか目標があったから続けれたのですか?
将来的には、今も手帳に書いてあるんだけれども、
ウチの弟子を雇用し昼は会社でしっかり働いてもらい、夜はちゃんと空手の練習をする。
という環境のある会社にしたい。
そして実業団のチーム作って全日本の大会で団体優勝する。
これが、いつも思い描いていた夢。
もちろん29歳のときも。だから今後、工場の2階に道場を作ろう。
と思っているんですよ。
工場の2階に道場。
ステキな夢です。
では、練習ばかりに明け暮れていた29歳。
そこから30歳へと変わる誕生日の思い出はありますか?
30歳の誕生日の翌日から、
体力とかそういった部分がガクンと落ちたなと。
思い込みではないと思うんだけど。
不思議なものでね。武道っていうのは一生やるのが前提。
何とか道(どう)って「道」
って付くのは卒業って無いんですよ。
だから一生やるのが前提なのね。
今の若い子とかは、
黒帯とっちゃったら辞めちゃったりするんだけれど、
とんでもない話ですよ。黒帯っていうのは、
これから修行していいですよ
っていう免許証みたいなもの。何かの資格と勘違いしてる。
やり続けて練習し続けるっていうところに価値があるんです。
武道だけではなく、
会社、経営にも繋がりますね。
まさにそう。社長さんに
「何のために会社やっているんですか?」
って聞けばよく分かる。
ろくでもない社長っていうのは、
自分の生活費のためにやって人とかいるからね。
僕ら経営者なんて公人でしょう。
公の人だから。人はそれぞれ社会の中でお役目があって、
我々はたまたま会社を経営しているだけだから。
それを勘違いして、
目先のことに走るから長続きしないんだよね。続ける事が必要なんですよ。
なるほど。
弊社は2007年9月3日に立ち上げて
「2112年9月3日の創業105周年
(&某未来のネコ型ロボの誕生日)までは必ず続ける。」
と、決めています。
「継続する。」
という点において、すごく共感します。
そうですよ。
リタイアなんて考えちゃ駄目なんですよ。
楽したいとか遊びたいとか。
元々、武道をはじめられたきっかけってなんだったんですか?
最初は不純。
「空手バカ一代」
この漫画を見て格好良いなって。
小学校低学年ぐらいかな。
チームプレイがほとんどできないの僕。球技とか嫌い。
チームワークとか嫌。武道の団体戦は、あくまで個人戦でしょう。
個人個人の戦いで団体戦っていうのは好きなんですけど。
ところで、2代目として会社を継ぐ決断をしたきっかけ
何かあったんですか?
最初からなるつもり。
子供の頃から。
うちが商売やっていたのは知っているわけだし、
やるんだろうなとは思っていた。
古いんだな、俺の考え方って。受け継ぐとか、
そういうところに価値を置いちゃうんだよね。
古いことですか?
古いとは思わないですけど、
ただ、僕も含め、最近の人たちは、
そういう意識があまり持てない環境なのかなとは思います。
情報が多すぎるもんね。
集中できないっていうのは不幸だと思う、逆に。
昔なんて選択肢がそうなかった。
今は色んな情報が入ってくるし、
選択肢があるからかえって良くない。
若い子が「自分探し」
とかいうじゃない?
よく言うよ。
って話だよね。なんでもいいからやっちゃえばいいのにね先に。
皆今の自分のことが大事でしょうがないもので、
修行しようとかそういう気があまり無いのね。
うまく立ち回ろうって小賢しい考えの子が多くて。
突き刺さります。
やっぱり石の上にも三年だよね。
とどめのごとく、さらにグサっと刺さりました。
2ヶ月で新入社員で入った大手の会社を辞めてしまったので。。
あんまり焦んないことだよね。人生なんて。
すぐ成功したいとかお金欲しいとか。
実は僕もそうだったんだけど。
修行とかなければ、ものにならないさ。必ず通る道だから覚悟しないとね。
苦労するのを。覚悟している人って、
顔つきも、態度も違うから。
一発で分かるんだよ。
なるほど。
変わってる人もわかるよね。
浅井さんみたいな人とか。
え?僕?
変わり者ですよ。
変わり者は変わり者がよく分かるんです。
一発で、「ああ、この人変わってるな」
って。
あはは。ホントですか。
誉められたみたい(笑)
変わってるよ。
でも「変わってる」
って言われるくらいじゃないと駄目だよね。
僕自身は、
あまり変わり者とは、思っていないんですけど。
僕もそうですよ。
他人からはよく言われるんですけどね。ただ、「僕の場合は変わってるけど、あなたは変人でしょ?」
って。相手に突っ込みたくなる。
変態ではないですよね?
変人ですよね?
変態になれたらどんなに気楽なものだろう。
・・・。
話を戻しましょう。
夢は一貫して変わっていないですね。
20代の頃から。
変わってないですね。
あ、変わったかな?
子供の頃は仮面ライダーになりたいとか。
素敵な夢じゃないですか!
憧れとか、自分がいいなと思ったり、
こうなりたいな。
って思ったものに近づいていく作業が好きなのかも知れない。
夢を持とうとか、夢を探そうとか。
色々な経営者の方のお話を聞いていると
共通言語のように出てくるんですけど、
その点に関してはどう思いますか?
やはり意識されてます?
絶対必要ですよ!絶対。
ただ「夢」っていう表現がいいのか、
「最終的な目的」とか「あるべき姿」
っていう表現がいいのか。
引き出し方がその言葉によって
スラッて出る場合と考えちゃう場合があるのね。特に僕ら製造業の経営者に
「夢って何ですか?」
って言っても
「夢なんて」
っていう人多いの。
「将来的にどういう感じにしたい?」
って言うとどんどん出てくるの。
なるほど!
聞き方で全然違いますもんね!
「夢」っていうと言葉自体に、
なんか安っぽい。薄っぺらいようなイメージない?現実を生きている人達、
固い仕事をしている人達、っていうのは、
その言葉自体、嫌ったりするの。
「では社長、将来どういう感じにしたいんですか?」って聞くと、バアーーー!って出てくるんだよね。
それが夢なのにね。
人のパーソナリティをよく見て、
聞き方変えるとぼんぼん出てくるよ。
なるほど。勉強になります。
インタビューを通して、
「俺、質問の仕方、型にはまりすぎて、下手くそだなぁー」
って思ってたところです。
人を見極めなくてはいけないですね。
僕が思うことなんですけど、
今の人は「夢」という言葉をすごく大切にしている。
でも、逆に
「目標や目的って何?」
って聞くと、答えられない人の方が多い気がするんですよね。
それも聞き方の違いですよね。
そうだろうね。
夢自体を枠組みにはめているいるような気がする。
子供の場合特に。現実味が無いような事が「夢」
とかさ。
こうなったら世間が良くなるような「思い」
とかでもいいのにね。
例えば、「将来、何をしたい?」
って聞くと、職業で答える子供って多いと思うんですよ。
でも、「世界一周したい」
「宇宙にいきたい」とか、そういうのだっていいのにな。
ってすごく思うんですよね多分聞き手があまりよくないんだよ。
カウンセリングと同じ。人には答えとか色々なアイディアはいっぱいあるのに、
それを引き出す能力が聞き手にない。
学校の先生でも、
経営者でも色々なリーダーでもそう。聞き方が悪い。
そういった勉強していないんだろうね。
そう思うな。
聞き方。
確かに勉強する意識もなかったですし、
そういう場も無い気がします。
修行だもんね、コミュニケーションも。
卒業とかこれで終了って無いわけでしょう?
自分も年取るし、
若い子とコミュニケーションとらないといけないから
日々変わるわけじゃない?
勉強していかなきゃ駄目なんだろうな。
色んな人と出会って、触れ合って。
体感するっていうのが少なくなってきたのは感じますね。
本とかインターネットで
全て終わらせてしまう人が多い。
薄っぺらの上っ面の情報は皆知っているんだけどね。
情報はみんな色んなこと知っているもんね。「あーそれそれ知っています」
って答えるから、
「知っているんだったらやっているんでしょ?」
って聞くと、
「やっていません」
「あ、そう・・・」
で終わっちゃいますもんね。
~~~ここで、同行サポーターより質問ターイム!!~~~
今どういったことを子供達に一番伝えながら
空手を教えていきたいと思っていらっしゃいますか?
一回やったことは止めるなと。
受験とかの時期は途中休会してもいいから続けなさいってこと。
大学生とかでも就職した人でも。「環境が変わっても続ける努力はしてくれ。」
って、一番言いますね。
一つ型を学ぶっていうことの大切さ。
それが仕事にとっても活きる。
日本で生きてていく上では、礼節とか、仕来りとか。
知ってて損することは絶対無いと思いますね。
相手に対する敬い方とか、
心のあり方をきっちりと学んだ上で、
実生活、実社会に出て行くのはとても大きいと思います。
そのとおりです。
最初は正しい形っていうのがあって、
形から入ることって超重要ですよ。
守破離(しゅはり)って言葉があるでしょ。最初に先生に習ったこと、
先輩に習ったこと守るってこと。かたちを自分のものにして、
段々自分のオリジナリティができてくることだから。段階っていうのは必ずある。
それを無視しちゃ駄目なんだよ。守破離(しゅはり)の、「守」は
基本なのではじめてからずっと続きますよね。「破」っていうところまで来るにはやはり長く続けないと。
だからどう考えてもロングスパンなんですよ。
守の部分ってね。
ずっと続くと思うよ。
守があって、ここに破が乗ってきて、離が乗ってくる。基本は毎回やらないと。
毎回同じことやってても絶対どこか違うんです。
そこを、どうちゃんとやるか。
偉そうなことテレテレと言って申し訳ありません。
いえいえ。
とても勉強になります。
~~同行サポーター質問タイム終了~~
では最後。
20代の人、これから新しいことを始めようとしている人に向けて、
「こうした方がいいよ」とか
「こんなことを意識した方がいいよ」とか
何かアドバイスがあれば。
例えば勤めることになった人。
その職業なり、会社なり
やっぱり10年勤める覚悟
で、やってみりゃ必ず道は開けると思う。そこに絶対骨埋めてやる。
って本気で思うことだよ。自分に合わないとか思ってても、
長く続けていけば合うからね。それに、自分に合いません!
って勝手に判断する人がいるけど、
何でそんなこと分かるの?たかだか数ヶ月でさ。
だから続けてみることでしょう、
本気になって。
ご縁とかチャンスなんていうのは、
実力も能力もやる気もない時点で自分から探して、
キョロキョロしてても絶対来ないさ。まずどんな仕事でもいいから本気になって
グーっと集中してスキルや能力が上がってくれば、
他から自然にお声がかかると思う。
ただしアンテナは張っておかないと。色んな人と会うとか、
話をするチャンスをどんどん増やすとか。
コミュニティーの場でも
ボランティアの場でも
こういった武道の場でもいいんだけど。そういったところで、
ちゃんとした人の集まりにいた方が良いですよ。
付き合う人たちを変えるってことにもなってきますよね。
なるべく自分よりもレベルの高い人と付き合わないと。
どうしても居心地がいいと、
自分と同等か下の人間に話したがるじゃないですか。だから全然駄目だよねと思います。
私はそう気をつけてきたな。
では最後に色紙を。
今ご自身の29歳を振り返った時に、
当時の自分に送りたい言葉だったり、
当時の自分に伝えたい言葉
を意識して書いていただけますか?
今日はお忙しいところありがとうございました!