37人目 江守大介さん:ディートラスト株式会社

会社名:ディートラスト株式会社
URL:http://ameblo.jp/ueno-asakusa/
公開日:2010年06月24日


今回の旅は、ディートラスト株式会社の江守大介さんです!

まずは自己紹介をお願いします。

法人向けに事務機(コピー機、ビジネスフォン等)の販売
およびそれに付随する工事、オフィスの開設・移転のお手伝いなどをしています。

独立しようと思ったきっかけは?

行き当たりばったりなんですけど、
将来は漠然と起業したいという思いはありました。
小学校に入るくらい前に父親に、
「おまえ、大きくなったら社長をやれ」
と、ボソッと言われた時があって。
父親は、そんなことを言ったことは覚えていないと思いますが、
僕の中では、その時の言葉が心のどこかにあったんだと思います。
大きくなったら自分で何かやろうかな。
漠然と思っていました。
何の根拠もないですけど、
30歳くらいで起業しよう。
と思っていたんです。
でも、大学を卒業して入社したバリバリ体育会系の営業会社で、
ガムシャラに働いていたら、
そんな気持ちは全く忘れていましたね。
最初の会社が丸5年勤めて、
次の転職先が医療・介護系のソフト開発会社で、
電子カルテをメインに開発していました。
最近は電子カルテも一般的になりましたけど、
僕がその業界にいた頃はまだ電子カルテが普及し始める頃。
そこで営業を3年やっていました。

30歳過ぎてから本当に起業されたんですか?

30歳、ドンピシャですね。

では起業前の29歳。
どのように過ごされていましたか?

転職先のソフト会社は
社員が10人くらいの小さなベンチャー系の会社だったんですね。
電子カルテのプログラムを主力商品として開発してのですが、
なかなか商品として完成しなかった。
ずっと開発を続けていて
プログラマーを抱えていますから、
毎月人件費もかかるわけです。
転職して1年半くらい経ったときに、
いよいよ資金がショートしてマズイ状況に。
その時は、医療業界の別の会社が資本を入れてくれて(そこが親会社になった)、
一息ついた感じになりましたが、
その後もなかなか電子カルテの開発が終わらず、
資本を入れてくれた親会社も
「いつになったら、電子カルテは完成するんだ!?」
と、痺れを切らして
「もう、電子カルテの開発は辞めちまえ!」と。
電子カルテの事業部がなくなっちゃたんです。
そして、電子カルテの事業部にいたみんなは、バラバラに。
僕は営業をやっていたんですが、
親会社から声をかけてもいました。
親会社の営業は、病院やクリックを周るルート営業でした。
でも結局、親会社からの誘いはお断りしました。
これは言い方が悪いかもしれませんが、
病院やクリニックの先生や事務長などの御用聞き営業みたいな感じがして、
相手の機嫌を損ねると仕事をもらえなくなる、
みたいなイメージがあったんですね。
「プリンターのインクがなくなったから買ってきて」
「今度の日曜日、車の洗車を手伝って」
とか、まるでパシリ扱いのようなことを頼まれたという話も聞きました。
まあ、それは極端な話であって、
実際はそんなことばかりじゃないでしょうけど、
僕の頭にはそういうイメージがあって、
そういう営業に魅力を感じなかったんですね。
仕事は安定していると思うんですけど。

本当に言われるんですか?

実際に、営業マンから聞いた話ですけど。
若手の先生はあまりないですけど、
年配の先生とかはそういうのが多いようなことは言っていました。
だから、「これはできないな」と思って、
親会社へ行くのはお断りしたのですが。
お断りしたっていうと聞こえがいいかもしれないですけど。
親会社も電子カルテの事業部を閉鎖した手前、
しかたなく一応声をかけたというのが本音でしょう(笑)
そこから起業するまで半年くらいは、
懇意にしていた外注先のソフト開発会社に
「腰かけ」みたいな感じで、お世話になりました。。

それが29歳の頃?

そうですね。
ほぼ30歳になる時でしたね。

29歳からの誕生日の思い出はありますか?

特に変わったこととしてはないですね。
本当は、何か話のネタになるようなことがあればいいんですけど(笑)
結構、淡々と。

たとえば、
「30歳になるぞ、目標を書こう!」
とか意気込みはありました?

起業するので期待感はありました。
不安もありましたけど、
期待する気持ちが強かったですね。
もし、ダメだったらまた勤める気持ちもありましたしね。
「こうしたくて」
「こういう思いがあって」
とか他の経営者の皆さんは、
すごいなと思うんですけど、
僕には、明確にはそういうのがない。
行き当たりばったり的な所が強いですね。

起業する際、企業理念を考えたりしましたか?

それもなかったですね(笑)
勤めていた時はほとんど本も読まなくて、
たまに読んでも営業ノウハウの本。
経営向けの本は、起業してから読み始めて、
読むと「目標」、「理念」とか出てくるんですよね。
一応、マネゴトっぽく考えたりはしますけど、
思いつかなくて。
なんかしっくりこない。
今も、理念という所まで昇華したものはないですね。
そういう意味では、
一般的に言われている経営者像からすると外れているんです。

たとえば、40歳、50歳に向けての目標やビジョンみたいなものは?

40歳、50歳というよりは、
なるべく長く働きたい。
生涯現役ですね。
リタイアしたいとかはあまりなくて、
休みたくないわけではないですけど、
基本的に長く仕事をしたい。
仕事が趣味ですね。
自分で無趣味だと思っていたんですけど、
そういう意味では趣味が仕事なのかな。
楽しいですから。
四六時中、仕事のことを考えていますね。
どうなんだろう?
経営者の皆さん、そうなんじゃないのかな。
休んでいてもどこかで仕事と結び付けて考えていますね。

仕事が好きな経営者もいれば、
すぐにリタイアをしたくて今をがんばっている方もいらっしゃって。
経営者によって価値観や考え方はバラバラですよね。

僕のなかでは、「良い悪い」ではなくて、
人それぞれだと思う。
僕の場合、ずっと休んでいると逆に退屈になっちゃうなという感じ。
淡々と仕事をこなしていきたい。
人からも言われるんですけど、
僕は淡々としているタイプなんですよ。
ガムシャラってキャラだと思ってはいないですね。

今後、社員を雇うことは考えていらっしゃるんですか?

「一人型ビジネス」
という視点があるんですけど、
自分がいてスタッフが2名まで。
自分を入れて3人までが「一人型ビジネス」
4人になると組織。
そこから組織論に入る考え方。
この考え方は、西田光弘さんに教えてもらいました。

そうなんですか。
初めて聞きました。

そういう意味では、あと2人。
最近、忙しくなってきたからスタッフを入れて、
その分、僕がもう少し考える時間に充てたりできたらいいなとは考えていますけど。
組織として大きくしようというのは、
今のところ全然考えていないですね。
さっきのプチリタイヤもそうですけど、
「良い悪い」ではなくて、
僕個人としては「場」が好きなんですよね。
今のひとりの空間が。
かといって、集団でワイワイするのが嫌いというわけでもないです。
どちらかというと、
一人だけでいる場が好きなんですよね。

なるほど。
では、今までの人生の中で
「これはピンチだ、どん底だな」
と思われた経験、なにかありますか?

人から見たら「大ピンチじゃないの?」
と言われることもあるかもしれないですけど、
僕のなかの感覚ではあまりなくて。
そういう意味ではつまらない奴なんですよね(笑)。
物語性がない。波がないですね。

比較的、順調に伸びてこられた?

ある程度は、そうですね。
中小零細はそうですけど、
基本的に経営に関して一発逆転の物語があまり無いのかな。と。
話としてはおもしろいけど、
現実問題、小さい会社は先行逃げ切りですね。

先行逃げ切り?

野球で例えると、
先取点を挙げてリードをしたままゲームを終わると。
つねに余裕を持ってやれるのが一番。
小さい会社や余力がない所は、
9回裏で逆転サヨナラっていうのは現実問題、
難しいのかなと思います。
逆転サヨナラってドラマチックで、観ているほうも面白いけど。
理想は先行逃げ切り型ですね。

今までご自身で勉強や心がけていたことは何かありますか?

僕のなかでは、
コツコツ、淡々とですね。
積み重ねといったらいいのかな。
僕自身が仕事柄、
アイデアを企画してそれをヒットさせるよりは、
物販だったり、
お客さんからオーダーいただいたのを工事したりで、
それを繰り返しやっていく感じですよね。

何か参考にしている本やツールはあるんですか?

本ではないですけど、大きく影響を受けたのは、
先ほど話に出てきた、
「一人型ビジネス型経営」コンサルタントの西田光弘さん。
http://www.wakuwakuwork.com/
今も、いろいろお世話になっています。
話は変わりますが、
僕は昔ゲームおたくだったのですが・・・

そうなんですか、まったく見えない。

ファミコン世代で。
ロールプレイングゲームの
「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」
を、寝る間も惜しんでやっていましたね。
理想は、それと同じ感覚で仕事ができること(笑)

すごくわかります!
仕事もその感覚ですよね!

ゲームにハマっているときって、
ご飯もいらない、寝る時間もいらない。
ゲームをやりたくてしょうがないんですよ。
トイレに行く時くらいしか、
テレビの前から離れないじゃないですか。
でもそれって全然辛くない。
それと同じ感覚で仕事ができたら、楽しくていいですよね。
親からもゲーム止めて、ご飯を食べろとか、
部屋から出てこいと言われるわけ。
それでもゲームが楽しいからやめない、やめられない(笑)
それと同じような感覚で仕事ができたらすごいと思いますね。

今、できていますか?

ある意味近い感覚ではきているかな。
最高ですよね。
やらされ意識がまったくない状態。
自分から「やりたい」って感覚で仕事に取り組めるというのは幸せですよね。

憧れている経営者や人ってどなたかいるのですか?

父親ですね。
僕の父親も起業したんですけど、
その背中を見て育っているのもあると思う。
基本的に嘘はつかない、誠実な人でした。
格好いいなというのはありますね。
ほとんど口は聞かなかったですけどね。
仲が悪いとかじゃなくて。
僕がそもそも親と会話をしない子供だったので。
今思うと親がよく何も言わなかったなというくらい。
全然、何も話さなかったですね。
学校から帰ってきても今日何があったとか一切言わなかったですし。
本当に何もしゃべらなかったですね。
だから父親とあまり何か話をした記憶はないんですけどね。

~~~同行サポーターからの質問ターイム!~~~
僕も来年を目標に起業を考えているんですけど、
「ここぞ!」と決める判断力。
どうやって決めているのでしょうか?

質問の回答に合っているかはわからないんですけど、
リスクが付きものだとするような判断だとした場合、
僕が考えるのは失敗した時を考えますね。
失敗した時に立ち直れないケースになる時はそちらを選ばないです。
よく、たくさん失敗して経験を積んでそれを糧にしよう!
と言うじゃないですか。
その通りだと思うんですけど、
立ち直れないくらいの失敗、
要は命を失うほどの失敗は絶対しちゃいけないと思う。
僕は絶対死なない。
死んだら終わりなので。
会社としては死んでもいいんですよ。
また復活すればいいので。
ただ、個人的に立ち直れないような失敗はどうなんだろう。って思います。

土日も含まれてなかなかお休みがないことなんですけど、
うまい時間の使い方のコツって何かありますか?

タイムスケジュールや手帳術とかいろんなことを試しました。
PDAやシステム手帳も買ったり、
時間管理術の本もいっぱい読みました。
いろいろ試した末に行き着いているのは、
付箋を使った仕事術ですね。
付箋仕事術の考案者は、西田光弘さんですね。
参考サイト:http://fusenjyuku.com/
付箋仕事術の考え方の肝のひとつは、
「後先順位」なんですよね。
普通は、「優先順位」で考えることが多いと思いますが、
「後先順位」の考え方では、やらないことを先に決めていく。
そうすると、最後に残るものはやること。
「これをやらない、やらない」
と消していくと、やらなきゃいけないことが残るわけです。
これは「付箋仕事術」として、コンテンツがちゃんとあるので、
ご興味があれば一度サイトを覗いてみてください。無料レポート
なんかもありますし。

ありがとうございます!
~~~サポーターからの質問タイム終了!~~~
では、色紙に当時29歳の自分に贈りたい言葉を書いていただいています。

「大切にしたいことを大切にしたい時に大切にできること」という言葉ですね。
それは「選択肢が多い」ということにつながりますね。

大切にしたいことですか。
江守さんご自身の中ですごく大切にしていることはありますか?

家族ですね。
カミさんが聞くと
「仕事ばっかりしてる癖に、何、言っているの?」
って、なると思うけど(笑)
ベースはそういう所にありますよね。

結婚されてから全然違うものなんですか?
僕は独身なのでそのあたりがわからないんですけど。

どうだろうな。
これは個人差があると思います。
僕の中ではやっぱり、家族を喜ばせたいのはありますよね。
子供のためという気持ちもあります。
自分の分身なのでかわいいですよね。
子供が生まれて一番思ったのが、
親に感謝することですね。
自分が子供を授かって、
本当に子供を育てるのは大変だと思いました。
自分は親にこうやって育ててもらったということが身に染みてわかったので、
改めて親への感謝の気持ちが増えました。
何気なく社会人になりましたけど、
そういう意味ではちゃんと育ててもらったことを感謝しなきゃいけないんだなと。

ちなみに脱線した質問なのですが、
奥さんを選ぶ時、気にした事ってありますか?(笑)

僕が結婚する条件として外さなかったことは“ご飯がおいしいこと”
僕にとっておいしいかどうか、僕の好みに合うことですね。
結婚したら、毎日カミさんのご飯を食べるじゃないですか。
それで、ご飯がまずかったら耐えられないと思ったんですね。
僕が好きな味、料理。
料理ができなかったら、
そこで結婚する相手として外れますね。
毎日、食べますからね。

奥さんに作ってあげたりはしないんですか?

作ってあげたい気持ちが芽生える時もありますけど作れない(笑)
たまに作りますけど、大変ですよね。
前に作ったのは、ハンバーグ。
本を見ながらお肉をこねて。
男の料理の本を買ったんですね。
それを見ながらいろいろやって。
おいしいと言ってくれましたけど、
僕は疲れましたね(笑)
これはできないなとわかりました。
カミさんはやっぱりすごいと思いますよ。
毎日、ご飯を作って子供の面倒を見て。

勉強になります。
100人の社長の奥さん選びインタビュー。という企画。
面白いかな。って、今、思いつきました(笑)
では最後に、若い人やこれから転機を迎える人。
夢や目標といったところで、何かアドバイスがあれば。

正直な話、僕自身は人に語れるような「夢」はない。
インタビュアー泣かせで申し訳ないですけど(笑)
夢がない。
と、焦ったりしなくてもいいんじゃないでしょうか。
夢とかではなくて、目標とか当面の1年や1カ月先でもいい。
何か仮に、とりあえずそこに向かっていくだけでもいいと思いますね。
「夢」が見つかる人は素直にうらやましいなと思いますけど。
じゃあ、見つからない人はダメなのかというと、そうではなくて。
自分自身が気づいていないということもあると思いますし。
これは教えてもらった考え方ですが、
「仮決め」
という考え方がすごく大事だと思うんです。
とりあえず仮で決めるんです。
とりあえず決めて、その方向に進む。すると違和感が出てきたりする。
仮に決めたんだけど、
何か違うなというモヤモヤがしたものが出てくる、
それが大事。
違う。とわかるだけでいい。
仕事の方向性でもそう。
例えば、今度スタッフを入れようと決めるじゃないですか。
スタッフを入れるぞ!と決めると、いろいろ募集の条件を考えたり、
そのための行動をしなくちゃいけない。
その行動をしている過程で
「何か違うんだよな」
と感じる。それはすごく大事だと思いますね。
仮に決めたことが、
なにか違うとわかるだけでも選択肢からなくなるわけですから。
ずっと頭の中で考えてばっかりで、何も先に進まないより、ずっと早い。
「仮決め」をすることによって、
それに対して感情が必ず出てくるので、
何か違うとわかるだけでいいんです。
仮決めしたことに対して、何も違和感なく行動できるのなら、それは方向性として
自分の中で承認されていると思うので、そのまま進めばいいかなと。
結果としてどうなるかはわかりませんが(笑)
「仮決め」だったけど、
みんなに「やる」って宣言しちゃった事もあるかと思います。
でもそこで違和感があるなら、僕は止めたほうがいいと思いますね。
みんなの前で宣言しちゃったとしても。

なるほど、今日はありがとうございました!