56人目 天野敦之さん:公認会計士 天野敦之事務所
会社名:公認会計士 天野敦之事務所
URL:https://ameblo.jp/amanoatsushi/
公開日:2010年10月07日
今回の旅は、公認会計士 天野敦之事務所:天野敦之さんです!
自己紹介を兼ねてどういったお仕事をされているのか教えてください。
コンサルティングや経営者を育てる塾、
セミナー、ワークショップ、企業研修、
本の執筆など、自由な形でやっています。
本業は会計士なんですけど、
実は会計士らしい仕事はほとんどやっていません。
もちろん、コンサルをする時は数字から見ていくなど、
会計士としての視点もありますが。
では、会計士の資格を取ったきっかけは?
高校時代、進路を考えたときに、まず文系がいいと。
教育なのか政治なのかと考えて、
一番生活に密着しているのがビジネスなんじゃないかと思ったんですね。
ビジネスが変われば世の中も変わるので。
そして商学部に進学したんですけど、
そこで天才の友人に出会うんです。
これは普通にやっても敵わない、
なにか専門知識を身に付けようと思い、
大学3年の時に会計士の勉強を始めました。
資格を取ることよりも専門知識を身に付けることが目的だったんです。
どのようなキャリアを積んできたのですか?
大学卒業後は、監査法人に就職はせず、
アーサー・アンダーセン(現在のアクセンチュア)に就職しました。
そこで3年間システム開発のような仕事に携わりました。
ちょうどその頃、社内の先輩が●●證券に転職されて、
その方の誘いで私も●●証券に移ったんですね。
●●證券でM&A関連の仕事をやっていました。
その当時、僕自身本当に辛かった。
お金は儲かるんだけど誰も幸せにならない世界がありました。
1日に一度も笑なかったり、職場も殺伐として。
ちょうど29歳の時、
同僚が鬱で自殺してしまったんです。
あの頃は一番辛かった時期だったと思います。
今回のインタビューのテーマが29歳なのですが、
まさかそんな辛い時期だったとは。。
傍から見ると●●證券でお金を稼いで、
そこそこ広い家にも住んで、
成功しているように見えるかもしれない。
でも、全然幸せではなかったですね。
毎日、何の楽しみもなくて土曜日まで仕事して、
日曜日はただ寝るだけ。
夜中の2~3時まで働いているから心身ともにボロボロで。
仕事も本当にお客さんのためになっているかといったら、
なっていないことも結構多いんですよ。
もちろん、法律に違反することはやらないんだけど、
グレーのギリギリの所でいかに自分たちの取り分を増やすか。
確かに、金融の仕事もすばらしい部分がたくさんありますよ。
でも、それを越えて稼ごうとすると、
いろいろ損なわれてくるものが出てくる。
その当時何か仕事に対する思いはありましたか?
正直、考える余裕もなかったんですね。
ここで逃げたら負け組になっちゃうのでないかという恐怖心。
勝ち組になりたいというある意味、前向きな思いではなく、
取り残される恐怖心が強かったと思いますね。
僕は29歳から30歳に切り替わる誕生日は節目だと思っているんですね。
その時の思い出は何かありますか?
誕生日の瞬間はそんなに思い出はないんですけど、
28~30歳までに節目がありましたね。
28歳のときにヨガを始めたんですよ。
たまたま会社の近くにスタジオがあって、
健康にいいことをしようと思って始めたんです。
そうしたら、心身が癒されてきて、
自分を内省する時間ができましたね。
実は幸せって外に求めるのではなくて自分の内側にあるんだ。
と、気づいたんですね。
お金儲けをしなくても、勝たなくても、
ヨガをやっている時は何もなくても幸せだったので。
幸せって自分のあり方次第なんだと。
ヨガもビジネスなわけで、
僕はお客さんとしてレッスンに参加して、
すごく満たされるから喜んでお金を払うんですね。
つまりお客さんもハッピーだし、
ビジネスをしている方もハッピーなんですよ。
それでいて、ちゃんとお金が回っていく。
これこそ、本来のビジネスの姿じゃないか、と思いました。
でも僕がやっていた金融の仕事は、
誰かの笑顔にするよりも、
奪うことをやっているのではないか、
と思ったんです。
幸せが自分の中にあることや本来のビジネスの姿などに
気づかれた後、なにか行動を起こされたんですか?
30歳の夏くらいだったと思うんですけど、
たまたま大学時代の天才に再会しました。
彼は社会を変えるような活動をしていました。
彼に刺激を受けて、
僕も会社の仕事だけではなくて、社会に目を向けてみよう、
と思うようになりました。
目の前の仕事をちゃんとやるだけではなくて、
世の中をどうしていきたいのか。
それでお客さんに喜んでもらうためにいろんなことをやり始めたんですね。
でも、そういう活動は会社の中で潰される。
上司に余計なことをするなと言われて、
最終的には32歳のときに部署を異動させられちゃったんです。
その時はショックだったんですけど、
おかげで19時くらいに退社できるようになったんですよ。
時間ができたので、友人の経営者のお手伝いをしたり、
自分でも人前で話す活動をするようになりました。
それが今に繋がっていますね。
社会的な活動は、最初なかなか利益が出にくいと思うんですが、
収益を上げるために何か工夫をされましたか?
●●證券は副業が禁止だったので、
お金をもらっていなかったんですね。
収益は全部チャリティーに寄付する形でやっていました。
それでも、会社の中で目をつけられて、
居心地が悪くなってきた。
そんなときに、アクセンチュアの先輩と再会して
アクセンチュアに戻ってこないかと誘われて戻りました。
アクセンチュアにいながら自由に社会の活動を始めて、
お金もちゃんともらう形にして、
それが少しずつ形になっていったんです。
転機となったのは、
『君を幸せにする会社』
という本を書いたこと。
読者からご相談やご依頼を受けるようになって、
収益としても上がってくるようになりましたね。
目標や壮大な夢でもいいんですけど、
なにか具体的なビジョンはありますか?
僕はそれほど明確な目標を持たないんです。
目標を手放すタイプ。
目標を持ちすぎるとそこに縛られてしまうので。
大きな方向性としては、
「人を幸せにする会社」
を創ることですね。
僕と社員、お客さんみんなが幸せに輝いて、
ちゃんと利益を上がっていく会社が増えていけば、
世の中がもっと良くなってくるんじゃないかと思います。
世の中の問題は奪い合いがもたらしていると思う。
でも、それは本来の姿じゃない。
人間は、目の前の人を幸せにする力を誰もが持っていて、
奪わないと幸せになれないということは思いこみにすぎない、と思うんですね。
一人ひとりが自分の可能性や創造性を発揮すればいい。
スピリチュアリティじゃないですけど、
自分の中の愛や光を信じて、
お互いにそれを輝かせる形のビジネスが増えていけばいいと思っています。
●●證券のようなオラオラ系の会社で仕事をされていて、
そこに気づけることはすごいと思います。
僕にとって幸運だったのは、
ヨガや瞑想を通じて自分と対話する時間を持てたことですよね。
会社では、そこそこ仕事もうまくいったしお金も入ったけど、
すごく違和感があった。
僕以外の人もそんなにガツガツしている人ばかりじゃなくて、
半分以上の人は違和感を持ちながらも
それに気づかないフリをしているんです。
それから、会社の外でいろんな活動をしていて、
世の中にいい利益をもたらしている人たちと出会うことで気づけたことも
大きかったですね。
やはり人との出会いは大きなポイントになってきますよね。
超天才との再会後、
「世の中におもしろい人がたくさんいる」
と気づいて、
僕は空いた時間を使っていろんな人に会いに行ったんですよ。
ネットで探したり、人から聞いたりして、メールでアポをとって。
運が良かったのは、
会計士という肩書きがあったことと、
26歳の時に会計の本を出版していたこと。
それが安心感を与えたのか、
8割くらいの人が会ってくれましたね。
中には返信がなかったり、
丁重にお断りされたケースもありましたけど。
31~32歳の時、自分の想いと
インタビューをした人のことを紹介するメールマガジンを始めたんですね。
30~40人くらいお会いしましたね。
特に印象的だった出会いを教えてください。
福島正伸さんですね。
ちょうどその頃
「究極のコンサルタント養成講座」
を始めようとされていたんですね。
もちろん僕も参加させていただいて、
福島さんから学び、講座を通していろんなネットワークができました。
僕も大学生の頃に、
福島さんのお弟子さんの宇治川さんという方に、
アントレプレナー、起業家精神という考え方を教えてもらったんです。
あの時出逢っていなければ、
まったく違う人生だったと思います。
人との出会いで大きく変わるな。と思いましたね。
もちろん、その逆もあるよね。
出会いがなかったら変わっていたこともあると思いますよ。
では一問一答形式でお聞きしたいんですけど、
憧れている人や目指している方はどなたかいらっしゃいますか?
僕はそういう人はいないんですよ。
誰かを目指してしまうとその人までしかなれない。
いろんなすばらしい方がいるんですけど、
人間なので決して完璧ではないんですね。
皆さんのいい部分を学ばせていただいています。
影響を受けた本は?
『アミ 小さな宇宙人』です。
アミという宇宙人が、
地球より進化した魂のレベルが高い宇宙から地球にやってくる。
そして、子供といろいろとゲームをしながら、
いろんなことを教えてくれるんですよ。
スピリチュアルというのは、
高い次元でメッセージを受け取るということ、とか。
いまの20代の人は、
天野さんが味わったように競争の世界で生きている人が多いと思うんです。
そんな人たちに抜け出すヒントやアドバイスは何かありますか?
自分と向き合うことだと思うんですよね。
自分の魂が感じていることをちゃんと味わってみる。
違和感があるならその違和感の実態は何なのだろうって。
自分がワクワクすることであれば、
社会的に反対されても自分に正直に追求してみるといいと思います。
僕にとっては瞑想やヨガが自分と向き合うことだった。
それがあったおかげで流される度合いが少なくなりましたし、
自分が大切な物を大切にできるようになったと思うので、
それはおススメですね。
実際、瞑想やヨガの講座をやっているんですけど、
僕が教えるのではなくて先生と組んでやっているんですけど、
講座に参加されますとみなさん、深い気づきがあったりしますね。
僕は瞑想に縁がないので、
自分自身の心に向き合う感覚がわからなくて。
自分と対話をするというのは具体的にどういった感じなんでしょうか?
いろんな瞑想のやり方があるんですよ。
身体を動かすことによって、
身体の変化というものを見ていく方法もあるし。
自分が本当に何をしたいのかを自分と自問自答することもそう。
あるいはそういうことを考えずに、
思考をなるべく無にするようにして、
今の状態を素直に見ていくというのもあります。
心を無にするのは、
自転車で日本一周をしているときの心の状態に近いかもしれないです。
それは瞑想に近いと思いますよ。
ウォーキング・メディテーション、
歩く瞑想もありますからね。
ではここで、23歳の同行サポーターにバトンタッチします。
~~~同行サポーターからの質問ターイム~~~
僕は23歳で大学を卒業して、
友達も仕事を始めたばかりの人が多いんです。
みんな、悩んでいるんですね。
仕事が大変だ、本当にこの仕事でいいのかと。
起業しようという気持ちも持っていない
そんな20代前半の時に何をしておけばいいと思いますか?
会社の中で立派に働くこともすばらしいことなので、
起業しなくちゃいけないことももちろんないと思います。
まずは目の前の仕事に真剣に取り組むことですよね。
若い人達は、ちょっとやってみてうまくいかないと、
この仕事は自分に向いていないんじゃないか、と
簡単に諦めてしまう傾向があると思うんです。
「ワクワクすることや自分の好きなことをやることが大事だ」
とよく言っているんですけどね。
それを変に解釈されると、
ちょっとやってみてつまらないから辞めちゃう人がいる。
どんな仕事も最初からうまくいくはずはなくて、
失敗を繰り返す中でその仕事の本当のおもしろさに気づいていくんです。
だから、少なくとも3年くらいは全力でやってみる。
どんなにつまらない単純な仕事であっても、
創意工夫の余地は無限にあるわけだし、
そこで周りの人に喜んでもらうことがいくらでもできるので、
それを極限までやってみる。
それでよりいい仕事があれば移ってもいいと思いますけど、
最初にすぐ諦めないことですね。
いろいろな職業に興味があるのですが、
公認会計士に向いている人はどんな人ですか?
僕は会計士の仕事はやっていないけど、
やっぱり、細かいことや数字が好きな人が向いていますよね。
ただ、実際にやってみるとクライアントからもそれほど感謝されない仕事なんですよ。
穴を見つけたりチェックする側なので。
人間ってチェックされると嫌じゃないですか。
正直、そんなに喜んでもらえるわけではないんですよね。
~~~同行サポーターからの質問タイム終了~~~
これから何か新しいことを始めようとしている人達に
アドバイスをお願いします。
自分を信じることですね。
自分を信じて自分を愛することです。
起業したい20代の人たちに向けて、
これをやったほうがいいと思うものは?
いろんな人に会うことですね。
若いうちは思考が狭くなってしまう可能性があるので、
いろんな人の価値観や体験談を聞いて素直に学ぶことですね。
後は本を読む学びも大事だし、
どんどん実践してトライ&エラーでやっていくといいと思いますね。
その最初の一歩が踏み出せない人がすごく多いと思うんです。
一歩を踏み出させるコツはありますか?
人によって何が障害になっているかは違うんですよね。
精神的な怖れがあるケースもあるし、
その人の価値観や考え方のクセもある。
例えば、大きな一歩にするのではなくて小さな一歩を刻んで、
できることからやり始めてみるといいと思います。
あるいは障害になっているものがわかるなら、
その障害の原因を徹底的に見る。
本当に軽い気持ちでやっていいと思うんですよね。
真剣にやることは必要だけど、
深刻になる必要はないので。
真剣なんだけど、軽い気持ちでやるといいと思う。
色々な人に出会い、学ぶというところで、
頭を下げて、「お話聞かせてください」と言うことに抵抗はないですか?
僕はそういったつまらないプライドを持たない主義です。
いつまで経っても人間は常に学び続ける存在ですから。
別に何歳になろうとどんどん人に会っていいと思うし、
歳下の人に教えを請いに行ってもいいと思う。
お会いしたい人に会う天野さんならではのコツってありますか?
紹介というケースもありましたけど、
僕はほとんど自分でアプローチしています。
自分の思いをちゃんとぶつけることが大事だと思うので。
僕の場合は本を書いていたので、
信頼された面はありますね。
メルマガを持っていない、ブログも持っていない、
何も情報発信するものがないけど、
会って勉強したい人たちは何から始めたらいいと思いますか?
メルマガやブログも今や誰でも作ることができますから
それをまず始めたらいいんじゃないんですかね。
では、最後に29歳当時の自分に向けた言葉を色紙に書いていただきたいです。
「愛と感謝」
29歳は愛と感謝が失われた時期ですか?
完全に失われていましたね。
全部、愛と感謝に気づくためのプロセスだったんでしょうね。
愛と感謝。
愛にはいろんな愛があると思うんですけど。
自分を信じて、人を信じること、
自分のあるがままを受け入れて、
相手のあるがままを受け入れる。
自分と相手の幸せを願うことだと思いますね。
今日はどうもありがとうございました!