66人目 小林俊さん:株式会社キープパドリング

小林俊さん
会社名 株式会社キープパドリング
URL http://www.shonanoutrigger.com/
公開日 2010年11月16日

今回の旅は、株式会社キープパドリングの小林俊さんです!

どんなお仕事をされているのか教えてください。

「湘南アウトリガーカヌークラブ」
の運営をしていて、
体験に来られる方やメンバーさんのコーチをするのが仕事です。
アウトリガーカヌー(南太平洋で用いられる6人乗りカヌー)の選手でもあります。
海に入ることが大好きで、
それが仕事になっています。
ありがたいことですが、
仕事で入ることと、
好きで自分で入る海では
大きく違うので大変です。
入りたくない時に海に入るという行為は大変です。
なんでも仕事だと一緒ですかね。
好きでやっていたものが仕事になっているので、
やりたい時にやるのはいいんです。
やりたくなくてもやらなければならないことが大変です。
そんなに稼げる仕事でもないですし。
夏場だけはいいですけど、
こういう仕事ってお金になるようなものではないですから。
会社にはしていますけど、
商売としてどうかと見たらボランティアに近いもので難しいですね。
すぐに結果が出るものでもないし、時間もかかります。

アウトリガーカヌーの認知度もこれからですか?

かなりマイナーなので認知度も全然ないですよ。
みなさん、海に出ること自体が少ないじゃないですか。
それが大変です。
アウトリガーカヌーを広めていきたいし、
それを通して海の魅力を伝えていきたいですね。

まずアウトリガーカヌーを知らないですよね。

原始的な船で何千年も前からこの形で、
どちらかというとポリネシア文化圏のカヌーです。
丸太を一本くり抜いたもので舵もありません。
とてもシンプルで、もともとは島の人々の生活の中で使用していたカヌーです。
今はスポーツとして残っていますけど。

カヌーは何台ありますか?

44Feet13メートルのカヌーが6艇あります。
日本ではこの湘南地域が一番多いです。
現在では日本中探しても20台もありません。

希少ですね。

希少というよりもまだまだ普及していませんね。
何が大変かというと
カヌーを置くことのできる海沿いの(水辺の)場所がないことです。
陸地に置いたらカヌーを出せないですし、
その環境が整わないとアウトリガーカヌーなんてできないですね。

海外では流行っているんですか?

今は流行っているほうかな。
レジャーではなく生活で使っていた船なので、
エンジン付きの船が出ると手漕ぎの船なんて衰退するじゃないですか。
手で漕ぐことパドリングといいますけど、
パドリングスポーツとしては流行っているかな。
タヒチの島などのポリネシア圏内が多いですね。
アウトリガーカヌーは左右非対称なんですけど、
非対称なのに形が整っているものってそんなにないと思うんですよ。
俺はそのアウトリガーカヌーの形も好きです。

ずっとアウトリガーカヌーの仕事をやってきたんですか?

アウトリガーカヌーを中心にPaddlingスポーツしかやっていません。
学生の時からずっと遊んでいて、トレーニングを積み
競技にも出ていました。
大学を卒業後、企業のスポンサーも付くようになり、
3年間Paddling一本で生活していました。
他にもアウトリガーカヌーをやりたい人がいるので
「湘南アウトリガーカヌークラブ」
というクラブを立ち上げて、
仕事をさせてもらうようになりました。
去年その仕事のスタンスを
会社という形にしたので一応社長でもあります。
会社に入ったこともないので何もわかりませんが(笑)
去年の12月に会社の登記をしました。
「株式会社Keep Paddling」
「湘南アウトリガーカヌークラブ」は6年目になります。
会社を創る前は
個人事業主という形でしたが、
規模も少し大きくなりカミさんの仕事もあるので…。

結婚されているんですか?

はい、子供が二人います。
フラフラしていると子供もかわいそうなので会社にしました。
事業はアウトリガーカヌークラブの運営とネイルやエステなどの美容分野です。
美容関係はカミさんが元々やっていたので
「じゃあ、一個の会社にして一緒にやっちゃおう」と。
ただカヌー関係の仕事ははっきり言って、
冬場はなかなか仕事になりませんね。
何て言うのかな…
お金を儲けようとするのは難しいですね。

商売としては一気に大きくできないですよね。

一気にできないので一歩ずつですね。
美容の仕事もあるし、
会社として何ができるのかなと考えています。
社名はKeep Paddling。
漕ぎ続けることはすごく大事ですし、
続けることは大変だという意味を込めています。
「継続は、力なり」です。

お話を聞いていると、もともと起業しようと考えていたわけではないんですね。

起業というよりも
海関係の仕事で食っていきたい想いがありました。
海が好きで東海大学の海洋学部へ入学しました。
海の仕事といえば、
水族館や海上保安庁、漁師さんとかで
なかなか自分が思う種類の職種がなくて・・・・。
そのどれも俺には合わなかったし、
体を動かすこととサーフィンが好きなので
自分で何かやっていこうと。
アウトリガーカヌーがあったので、
それを漕ぎながら暮らしていきたいと思いました。

夢を叶えていますね。

夢を叶えてはいるけど、
30年後もちゃんとした生活を送りながら
この仕事をするのが理想ですよね。
未来の作戦も考えなくちゃいけませんね。

僕は30歳になる手前なんですけど、
30歳になる直前に何か不安はありませんでしたか?

30歳になるので会社にしてみるのも
いいかなと思いました。
ちょうど節目ですから。

誕生日の日を覚えていますか?

誕生日は伊豆にいました。
泊まり込みの仕事です。
みんなと一緒にいたので
誕生日を祝っていただきました。
30歳をそこまで意識することはなかったですね。
たしか、30歳になるので
会社にしようと意識したのかな。
20代のように好きなことばっかりやって、
そのままズルズルいくのではなくて
社会的にも会社になったら、
それなりに認めてくれるだろうと。

サラリーマンをしたことがないというのもいいですね。
若い人たちに伝えたいと思います。
みんな企業に入らないといけない焦りがあって、
就職活動をしていますから。

それに関しては、
俺も若い人たちに言いたいですね。
別に仕事をしたくなかったわけじゃなくて、
俺なりの就職活動が
アウトリガーカヌーを一生懸命漕ぐことだったと思います。
ひたすら漕ぐ、とにかく漕ぐ。
そうすれば何かが手に入る。
そのおかげでスポンサーが付いて、
3年間暮らしていましたから。
俺の就職活動はとにかく海に出る。
人に負けないで漕ぐ!
リクナビなんて見たことないし、
スーツを着なくたっていい。
自分のやりたいと思っていることを
一生懸命やることが就職活動ですよ。
インターネットに頼らず足で歩いて人に声をかけたり、
自分の好きなことをどんどん突き詰めて
仕事にしていこうという意気込みがないですよね。
テレビを観ていた時に
「俺は大学院を出ているのに誰も雇ってくれない」
って、怒っている人がいましたけど、
何を言っているんだと思いましたね。
「俺は大学院に出ているんだぞ!」
「こんな安い給料の会社に入りたくない」
と態度は偉そうにしているけど、
「おまえはどれだけ稼げるんだ?」って。

自分の立ち位置がわかっていないんでしょうね。

立ち位置も含めて世の中の見方が
ちょっと変だという感じがします。

20代前半の若者たちに向けて
20代のうちにやっておいたほうがいいことってありますか?

何だろうな?
大した見本にならないからな…。
そんなに甘くないですよ(笑)
「この仕事っていいよね」
と言われますけど、
それを求めていくと本当に厳しいと思います。
最近は、何をやっても大変なのかな?と思っています。
バランスがすごく大事だと思います。
どうしていきたいのかを具体的に考えることです。
俺はカヌーが好きで漕ぎたい、海にいたいだけではなく、
クラブにしていきたいと考えていました。
人が集まってカヌーに乗れるようになって、
会費制度にすれば収入になるかなと。
葉山にも子供のスクールを持っています。
事務局を預けて外注という形で俺は外から入っています。
初めは子供たちを海に入れ、自分が子供の頃、
「海って楽しい!」
って思ってもらえればとはじめました。
ただ子供が何人集まったら、
自分がどれくらいお金をもらってできるかなと計算していました。
仕事になるかな?なんか考えながら。
最初5人だったのが今では60人くらいいます。
青写真を持って一個ずつコツコツやる。
一発当ててやろうと考えている人が多いかもしれないですけど、
一つずつやっていくことがすごく大事かな。
ワンパドルずつ前に進んで行く感じ。
パドリングは俺のモットーで
人生として置き換えるとわかりやすいでしょう。

今は一歩ずつ進んでいく感覚よりも
一発当てて這い上がってやろうという人のほうが
圧倒的に多いと思いますね。

それは自分にはない感覚かな。
昔からないですね。
一歩ずつ進むことしかわかりませんでした。
自分ではリスクを抱えていないと思いますよ。
好きなことだけやっているので
リスクがあるのではと思われていますけど、
会社も小さい規模じゃないですか。
最初に借り入れをしたお金もありますけど、
それも何千万って規模じゃないですし。
普通のサラリーマンが家を買って
何千万もローンを組んでいるほうがよっぽど怖いですよ。
今自分は、ひと月ひと月、勝負をしている感じ。
給料を渡さなくちゃいけないし、
電気代や家賃を払わなくちゃいけない。
翌月のことを計算してやっていくことがおもしろいです。
がんばります!

まずは一歩ずつコツコツとやっていくと。

会社は資本金1円から創ることができますよね。
まぁ、1円じゃ何もできないとは思いますが。
100~200万円だったら
がんばればバイトでも貯められる。
その自分の範囲で小さい事務所を構えて
何か始めるということを考えたらやりやすいかと。
若い人たちは会社といったら
ネクタイを締めて自動ドアで入っていくイメージを抱くと思うんですよ。
この事務所のようにドアをガラッと開けていくのは、
「これが会社なの、大丈夫なの?」
とイメージ的に引いちゃう。
でもこれは小さな一歩だけど会社は会社なのです。
自動ドアやエアコンがガンガンきいた会社という
イメージを頭の中から捨てたほうがいいですね。
みんなそれぞれ小さな規模でやっていたほうが
俺はいいと思いますよ。
変な企業に入って歯車になるよりも
自分でお茶くみから経理までやっていくほうがいいかな。
自分も会社を少しでも大きくしていきたいですけど、
6人乗りカヌーくらいの規模が一番いいですかね。

まさにアウトリガーカヌーですね。

俺は一人乗りで漕いだり、
ガンガンやっていくのが得意ですけど、
6人だと全員の息を合わせてパドルを漕がないといけない。
それは仕事も同じことがいえると思います。
俺が企業に入るとしたら、
船でたとえるとでっかい豪華客船の中に
ポンと入れられた感覚ですね。
小回りもきかないし、
一回沈んじゃったらアウトですよ。
俺らは手漕ぎだからどこでも行けるし、
クルクル回って自由自在。
それを活かして仕事していきたいと思っています。
そしてアウトリガーカヌーはなかなか沈みませんし!!

スポーツがリアルなビジネスに
つながっているのが垣間みれますね。

スポーツをずっとやってきましたけど、
スポーツの原点や本質を
自分の日常にどう活かせるかだと思いますね。
仕事に置き換えた時とか
家に帰った時にどうあるべきか。
そうじゃなかったら、
スポーツをやっている意味が
プロ選手以外はなくなってしまいます。
俺もプロ意識はありますけど、
そんなにメジャーなスポーツではないですし。

僕の周りではスポーツ選手で
経営者になる人の話をあまり聞きません。

プロ野球選手でお金があるから
ショップを出してオーナーになる人もいますよね。
それもショップとしては一歩ずつじゃない感じがしますよね。

~~~同行サポーターからの質問ターイム~~~
海関係の仕事をやろうと思ったのはいつ頃ですか?

海の勉強をしたいと思ったのは18歳の時。
大学の進路で学部を選びますよね。
自分の頭の中には体育学部しかなかったんですよ。
ただ体育もどうかなと思った時に海洋学部を見つけて
「これは楽しそうだな」
と思い、東海大学の海洋学部に行きました。
その選択をしたのは
子供時代に海の中へ潜ったのが楽しかったから。

俊さんの中でプロ意識のプロは
どういうものだと思いますか?

プロって響きがかっこいいですね。
自分もカヌーのプロフェッショナルでありたい、
いたいその意識で日々カヌーに乗っています。
いろいろな職種の方が存在し、
その分だけプロが存在すると思いますが、
プロであるならば、
その行為がその人の生活の一部となっていることが
プロフェッショナルだと思います。
名前や資格だけプロっていうのも多いですが
それは自分はプロフェッショナルとは思いません。
あとは、そこにどれだけ情熱があるかですかね。
他にはレースに出たら誰にも負けたくないですよね。
その個人的な感情もあって練習をしているので、
結果的に仕事につながっています。

ありがとうございます!
~~~同行サポーターからの質問タイム終了~~~
では29歳の自分自身に向けたメッセージを色紙にお願いできますでしょうか。

「キープパドリング」ですね。
社名ですけど、
がんばって漕いできたから会社もできました。
漕ぎたくないと思ったこともありました。
ただずっと続けなくてはいけないと思ったし、
海に出るとヤル気が湧いてきました。
パドルを仕事にした今、
続けるのは本当に大事なことですから。
どこがゴールかはわからないですけど、
一度漕ぎ続けたらゴールするまで漕ぎ続ける。
過去の自分も漕ぎ続けていたから今があります。


本日はありがとうございます!


ママチャリで日本一周している経営者
■Profile:
2007年から毎年分割でママチャリで日本一周を目指す。ほぼ一周を終えつつ、まだまだ走り続ける口実をつくるべく、寄り道企画(四国八十八ヶ所編)を2017年から開始。人に「場を与え、繋げ、拡げる」を基本軸に、法人複数社の経営と一般社団法人1団体の理事として活動中。
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