67人目 森光太郎さん:株式会社リトル・ママ
会社名:株式会社リトル・ママ
URL:http://ameblo.jp/morimori-lma/
公開日:2010年11月20日
今回の旅は、株式会社リトル・ママの森光太郎さんです!
どんなお仕事をされているのか簡単に教えてください。
福岡でママ向けのフリーペーパーを始めたのが始まりです。
ママ向けのフリーペーパーとサイトがメイン事業。
サイトはママたちにサークル情報を提供したり、
掲示板でママ仲間を探す事業を行っています。
毎月、ママサークルを約100件サイトに取り上げています。
毎月100件もですか!
いずれも地域のママや育児中のママ支援のサークルですね。
フリーペーパーの発行部数はどれくらいなのでしょうか?
福岡版は84000部発行。
福岡都市圏のターゲットは、
0歳から就学前までの子供を持ったママ。
幼稚園や保育園で配ったり、
産婦人科や小児科、スーパーなどで見てもらう仕組みですね。
このお仕事を始めようと思ったきっかけと経緯をぜひ教えてください。
前職は広告代理店のデザイナー。
たまたま育児ものを手がけたのがきっかけなんですよ。
ちなみに浅井さん、ご結婚は?
そろそろ30歳ですが、まだしていません。
僕も29歳当時は結婚をしていなかったし、
手がけるまではママや子供にはまったく興味がなかったですね。
むしろ君たちと同じように若いお姉ちゃんに興味がありましたよ(笑)
何も知らないわけだから幼稚園や保育園を100か所くらい回り、
いろいろな育児現場や先生方のお話を見聞きしたんですね。
そのときにある園長先生の言葉が耳に残ったんです。
「アトピ-やアレルギーの子が増えた」
「朝ごはんを食べてこない子がものすごく多い」
それ以外にも自分が小さかった頃には聞かれなかったことを聞かさた。
そして、世間はどうかというと、
虐待事件などの子供に関する事件が絶えない。
何だか社会背景が見えたような気がしたんですね。
かくいう僕も中学1年で両親の別居が始まり、
20歳で離婚した家庭に育ったんです。
別に気にしなかったし、そんなの普通なんだけど、
流さなくてもいい涙も流してきた。
嫌な思いをしてきたとはいえ、
とくに気にすることもなく無事に生きてこられたのは
両親のおかげだと感謝しています。
だけど、虐待されたり事件に巻き込まれたり、キレちゃったりしたら、
ちゃんとした大人になれないのではないかと思ったんですね。
そういう子供たちの未来を応援することができればと。
その言いだしっぺになっていると、
「同世代のママとして、今のママにこういうことをしてあげたい」
「先輩ママとして今のママにこういう事を言ってあげたい」
と思う意識の高いママが集まってきたんです。
ママのコミュニティや情報のニーズがあったわけですね。
あったと思うよ。
モチベーションが高くて地域の核となるママはいっぱいいるけど、
全体的にまとまっていない気がしましたね。
男性目線だけど、
「このママとあのママをくっつけたらいいんじゃないか」
「いろんな情報が出ているけどそれをまとめればいいじゃないか」
と思ったんです。
そして、ビジネスモデルとして興味を持ったのが、
幼稚園や保育園で園の配布物として配ってもらうこと。
配送ルートを全部網羅したら100%ターゲットに行き届くし、
広告媒体としてパーフェクトなフリーペーパーになるのではないかと。
社会背景として、
子供ができた瞬間にママたちの世界がいきなり狭くなるんですよ。
ベビーカーを押して電車に乗るのもままならない。
家の近所が行動範囲になってしまい、疎外感を感じてしまう。
そんなふうに悩んでいるときに参考になる、
一歩外に出てみようと思う情報誌を作ろうと思った。
その社会背景と100%ターゲットに届くビジネスモデルを合わせたら、
おもしろいんじゃないか、と思って独立したわけです。
だから僕が作るのは、
広告マンとしてのロジックに感性が加わった情報誌。
独立したのは、29歳の12月。
前の会社と喧嘩別れをしちゃったんです。
会社を辞めることが決まったら、
当時いたスタッフ11名中9名が
ついていくと言ってくれたんですよ。
ありがたい話だけど、
やばいと思うじゃない?
逃げ場がなくなって引っ込みがつかなくなった感じ(笑)
12月4日くらいに前の会社を辞めて、
会社を設立したのが12月25日。
2週間で登記しました。
人間やればできるんだなって思ったよ(笑)
独立しようという夢や目標があったわけではなかった?
友達レベルで話すことはあったけど、
「土日は休みたい、合コンをしたい」
と思っていた普通のお兄ちゃんでしたよ。
やらざるを得ないと思ったときに
焦りと共に期待はありましたか?
予感はするよね。
前の会社で100件回って現場に足を運んだ根底があるから。
足を使って意見を聞いて媒体を作っていくことが基本になっている。
毎回意見が吸い取れる環境を作ろうと思って、
幼稚園や保育園などに行って、
「何部余っている、入っている」という情報収集もできるママの配送部隊を作った。
それもママのアルバイト。
100件回るんだけど、効率良く回ると日給が1万円になるの。
そういう風にするとママの目線で開拓先も増えて、
媒体ができていったの。
最初は利益がなかなか出づらい業界なんですか?
慢性的に利益は出にくいんじゃないかな。
今は広告不況だし、
子育てママは一番お金を持っていない層なんだよね。
だから何とかやっている感じかな。
広告を載せてくれる企業さんへ営業回りをしているんですか?
東京のスタッフはほとんどがママスタッフで、
ママパワーで広告を取っていますよ。
正社員という形で雇っているのではなく、
外部スタッフとしてママさんを活用されているのですか?
いろいろですね。
ママの中には正社員で働ける人もいれば、
子供がいるから正社員で働けない人もいる。
そこはフレキシブルに対応しています。
うちの東京スタッフは、
5人中2人が16時15分までという短時間勤務の正社員。
残り3人が18時15分までの正社員という形で働いています。
時間をうまく両立できるので、
お母さん方にとってはありがたい話ですよね。
逆にうちもありがたいんだよね。
子育てという時間的制約があるだけで、
それを除けば新卒の何もわからない若者よりもすごく働くわけですよ。
モチベーションも高い。
6時間の短時間勤務だから、
正社員だったらお給料が8分の6なんだよね。
中小企業的には1人分の8分の6のお給料で
スキルの高い人を雇うことができる。
正社員もそうだけど、
ママサークルを100件回っているのは各エリアのママライター。
20人くらいいて、彼女たちが毎月100件取材してくる。
募集をするとあり得ない高学歴と高キャリアの人ばっかりなんだよ。
「自分のペースでいいよ、子育てを優先させていいですよ」
という風に時間的制約を除くと、すごい人しか来ないんだよね。
ニーズとうまく合っているんですね。
ママも正社員ばかりの給料を求めているというより、
自分らしい仕事がしたいんだよね。
今後はどういった形で拡大を考えていますか?
基本的にうちはママと子供の明日を応援しています。
情報を提供することによって、
ママたちが動いていく会社だと思っています。
福岡と東京でフリーペーパーを展開しているけど、
東京に出したのは、福岡から転勤で東京に行ったりするママから
「似たようなサービスはないの?」と言われたから。
だから東京にも出した。
クライアントも福岡だけだったら、
東京本社決済でグルグル回されてしまうし。
ビジネスモデルとしては、東京や大阪、名古屋にも地域媒体を出して、
「各エリアでやっていて、気づいたら全国媒体になっていた」
という風になっていくのが理想かな。
ママさんの仕事という着目点は素晴らしいな。と思います。
16時15分まで働くママも偉いよ!
彼女達の効率の良さはとても真似できない。
やっぱり、子育てをしながら働く人って時間の使い方がうまいんですよ。
彼女たち自身も
「OLのときよりもはるかにレベルアップした。」
「子供がいるおかげで仕事にメリハリがつけられるようになった」
って言うくらいだから。
レベルが高いよ。
ウチは「ママ新卒」って言っている。
一回ママになって辞めて、新たに入ることを「ママ新卒」
この言葉を流行らせたいんだけどね。
広告取りは大変な時期だと思うんですけど、
いかがですか?
費用対効果ですよね。
そればかりです。
ゼロにされたらしょうがないけど、
費用対効果と言われるわけだから、
そこは追求していきたいですね。
どの業界の広告を載せるのが一番効果的なのでしょうか?
ママ向けだったら何でもですけど、
事例として挙げられるのは
ブリヂストンサイクルさんと子供のヘルメットを開発していますね。
どうやって開発しているのかというと、
サークルのリーダーさんとチームを作って開発しています。
うちはサークルを毎月100件、全部で2,500件回っているわけです。
大規模サークルには800人のママがいるんです。
そこに取材するということは、
その代表と繋がっているわけだから、
その800人を統率しているママを連れてくると
800人のママに話が広がるんですね。
リーダーママを集めて商品開発するのがこの企画なんです。
半年くらいのスパンで商品開発をしています。
会議や座談会をして宿題を出し、
サークルのママたちにリサーチをして戻す。
このことを繰り返しているうちに
2,000人くらいのママに伝わっていますね。
宣伝しなくても勝手に広がるんですね。
もちろん、ブログも書きますよ。
これがまたレベルの高いブログを書いてもらえるんです。
中古車販売のガリバーさんの案件ですが、32人の「ママ研」を作って、
ママが来やすい店舗開発をしたりしています。
企業側としてはママさんのニーズを聞きだすのは難しいですよね。
ママのリクルーティングの精度レベルはすごく高いよ。
ダテにリーダーじゃないね。
そこはうちが誇れるところだと思います。
世界を渡り歩いていたママさんもいっぱいいるしね。
そういう人は800人のママを束ねちゃうよ。
お仕事をされていて一番大変だったことはなんですか?
月並みですけどお金と人ですね。
うちは何をするにも人件費や紙代、印刷代が出てくので、
売上が悪いと収入よりも支出が100万円多かったりすることもあります。
最初にそんな事があったときは胃がねじれるかと思ったし、
月末にビクビクしながら通帳記入しに行ったこともあった。
でも人間の慣れは恐ろしいもので、
今は月100万円くらい「ふーん」ってなっちゃうけどね(笑)
あとは人ですね。
起業して家内工業から組織になるにあたって、
とくにうちは女性組織なので感情的な部分も多かった。
組織がフラットな状況からピラミッドに変わるときに
1対社員でボロクソに言われたこともあったね。
でも会社によると、朝、出社したら全員の辞表があったりする事例も多い。
うちもそういうことを乗り越えてきましたよ。
会社が組織になっていくと
それまでは森さんと呼ばれていて、
メンバーが3人だったら多数決で決められていたことも
5人になったら森社長にならなくちゃいけないんだよね。
それをみんな頭ではわかっていても
感情の部分ではわからなかったりするから。
多数決を取っても反対票の人は不満だと思う。
場合によっては全員反対しても
社長として押し切らなければならないときもある。
社長業に特化して勉強をされたことは何かありますか?
日々OJTですね。
現場もそうだけど本も読み漁りますよ。
経営者の会に行くと先輩社長がいらっしゃるので、
そこでも学んでいきますけど一番は経験だね。
たとえば、「社員に仕事を任せていく、首を突っ込まないほうがいいよ」
と何度も言われたことがあるんですね。
そのつもりなんだけど、自分でやったほうが早いし、
ついつい口を出したくなってしまう。
だけど、3年前に東京支社を出してその意味がわかった気がする。
というのは、東京に支社を出してから、
僕は福岡と東京半々の生活をしているんですけど、
どちらかは半分いないんですよ。
そうなってくると、
口の出しようがなくなるから
自分たちで考えるようになる。
最初は福岡本社はガクンって落ちるけど、
自分たちで考えて作っていくからだんだん回るようになっていく。
そうやって組織は強くなるんだと思いましたね。
東京支社は最初から社長が半分いないわけです。
だから社長に頼るという発想がないわけですよ。
そうすると成長が早いんだよね。
自分たちで解決するようになってくるんだ。
それはいろんな先輩社長の本にも書いてある。
「任せていかなくてはいけない」
って思っていたけど、
実際にこういうことなんだとわかるようになる。
憧れている経営者の方などはいますか?
昔はホリエモンの本を読んですごいと思ったし、
サイバーエージェントの藤田さんの本を読んでもすごいと思う。
フォーバルの大久保会長にお会いしたし、
ソフトバンクの孫社長の本を読めばすごいと思うよ。
すごい方はいっぱいいる。
だからといって、とくに憧れはないですね。
29歳から30歳に切り替わるお誕生日の思い出はありますか?
30歳に対する焦りや期待があったらお聞きしたいです。
土日は休みたいし、残業嫌いな人間だったんですけど、
起業したら労働時間が9~17時とか、土日休みという概念がブッ飛んだんです。
「世間は休め。その間に仕事して吹いても飛ばない会社を作ってやる!」
と思いながら、突っ走っていましたね。
仕事に夢中だったんですね。
年齢に関係なく突っ走っていたんだろうな。
29歳の独身で育児情報誌を始めたから、
ありがたいことに「20代独身男性編集長」というフレーズで
福岡のマスコミに取り上げてもらっていましたね。
あとはまったく覚えていない。
女の子と過ごしたかも覚えてないくらい(笑)
男ならモテたいじゃん?
僕には合コン史があるんです。
最初の就職は普通の営業なんだけど、
そこから勉強して広告デザイナーになったの。
合コンに行ってデザイナーの名刺を渡すと
「デザイナーさんなんですか!」
ってワンランク上がるんですよ。
社長の名刺を渡したら
「青年実業家さんなんですか?」
と言っていただけるわけ。
3年間くらい給料ゼロなのにね。
やっぱり、男なんてバカだから女の子にもっと言われたいと思うんですよ。
そのためには、仕事をしなくちゃいけないわけですよね。
仕事をしなくちゃいけないのはどういうことかというと、
僕の場合はたくさんの親子のお役に立たなくてはいけない。
そんな風に一生懸命仕事をしていたら、
マスコミに取り上げられる。
そこで合コンに行くと
「この間、テレビに出ていませんでした?」って言われたりしたね。
できることならば、名刺を渡した瞬間に
「あの社長さんなんですか!?」って言われたいですよね!
だったら、もっと仕事をしなくちゃいけない。
そうしたら、モチベーションも上がるじゃないですか(笑)
今でもその気持ちはありますか?
今は結婚したからね。でも気持ち的にはあるよ(笑)
僕の合コン人生を変えた一つの事件があったんです。
31歳くらいの頃だけど。
僕の中では合コン界の最高峰があって、
それはスッチーと女子アナの合コンだったんです。
「苦節31年、とうとう俺もここまで来たか…。
ようやくスッチー様と合コンできるようになったか!」
そう思って合コン行ったわけ。
社長だけではなくサラリーマンも連れて合コンをしたの。
お会計は7対3で割ったんだけど、次の日にクレームが来たの。
「私たちにお金を払わせて!」
そのときに31歳の給料もないペーペー社長が
女子アナ様やスッチー様と合コンするような身分じゃなかったと反省したね。
彼女たちは日頃、
野球選手やお医者さん、弁護士さんらと合コンをしている。
それなのにサラリーマンやペーペーの青年実業家ごときが
コンパするレベルじゃないんだと。(笑)
彼女らにもプライドがあったんでしょうね。
わからないけどね。
「お前ら見とけよ!
絶対に全国規模の社長になって局アナと合コンしてやるよ」って思ったね。
それがモチベーションですか!(笑)
「国際線のスッチーと合コンして、お金も払ってやるよ!」
と思って、今もその途中。
もっと仕事をがんばって、
ポーンと払えるようにならなくちゃ。
ですから、そういう意味では志半ばですね。(笑)
これから起業したい、新しいことにチャレンジしたい人たちに対して20代のうちにやっておいたほうがいいことがあればアドバイスをお願いします。
起業しようと思っている人は、明日起業しよう!
準備をするより起業しながら学ぶことの方が大切。
準備したって思い通りにならないから。
それでは29歳のご自身に向けたメッセージを色紙にお願いします。
ショナルだと思います。
名前や資格だけプロっていうのも多いですが
それは自分はプロフェッショナルとは思いません。
あとは、そこにどれだけ情熱があるかですかね。
他にはレースに出たら誰にも負けたくないですよね。
その個人的な感情もあって練習をしているので、
結果的に仕事につながっています。
ありがとうございます!
~~~同行サポーターからの質問タイム終了~~~
では29歳の自分自身に向けたメッセージを色紙にお願いできますでしょうか。
「キープパドリング」ですね。
社名ですけど、
がんばって漕いできたから会社もできました。
漕ぎたくないと思ったこともありました。
ただずっと続けなくてはいけないと思ったし、
海に出るとヤル気が湧いてきました。
パドルを仕事にした今、
続けるのは本当に大事なことですから。
どこがゴールかはわからないですけど、
一度漕ぎ続けたらゴールするまで漕ぎ続ける。
過去の自分も漕ぎ続けていたから今があります。
本日はありがとうございました!