70人目 宛木宏之さん:株式会社松浦製作所

宛木宏之さん
会社名 株式会社松浦製作所
URL http://ateki.seesaa.net/
公開日 2010年12月02日

今回の旅は、株式会社松浦製作所 宛木宏之さんです!

まずは自己紹介をお願いします。

会社は今年でちょうど81年になります。
私は四代目ですけど、会社が妻の実家なんですよ。
昔から東京ガスなどの
ガス会社をお客さんにずっと商売をやってきました。
工具やハンマーなどを売っているのですが、
80年も続いていると徐々にお客さんの要求が変わってきているので、
工具だけじゃなくて実験用備品のフラスコから
様々な物の注文を受けるようになりました。
「お客さんの成功をサポートすること」
を目標にしているので
お客さんの要求が合ったものを
レスポンスよく入れていくことがうちの売りです。

ホームページを見せてもらいましたけど、
ものすごい数の商品がありますよね。

サイトの商品はどちらかというと理化学機器でしょう。
ロングテールを狙っているから品数が3万何千点。
キーワード検索で1週間に大体2000名くらいの人がアクセスしている。
1か月だと8000~10000人。
そのうちリピーターの人が2割で新規が8割。
この比率はあまり変わらない。
今までとは違うお客さんをつかまえている伸びが結構あるね。

ネットを導入されたのはここ最近になるんですか?

今年で3年目。
導入しようと思ったのが4年前。
80年間商売をしているけど、ずっとお客さんは変わらない。
だけど売上はどんどん減ってきている。
東京ガスのような大きな会社は、
自社ネットでいろいろ購入できるようなシステムを作り始めたから。
今までの80年間、
ガス業界に特化していたけど、
新しいお客さんを見つけていこう。
それをしておかないと、
会社のためにならないので始めた。

新規のお客さんは学校とかになるんですか?

学校や独立行政法人、一般企業、中には個人のお客さんもいる。
お金にはならないけどすごく良かったのは、
奈良のある養護学校の先生からスポイトがほしいと注文が来たの。
それも菌のない滅菌されたようなスポイト。
そのサンプルを送ってあげた。
実は養護学校に通っているお子さんがいて、
そのお母さんが子供にお水を与えるのに
スポイトじゃないと中々飲めないらしいの。
そのスポイトを先生がネットで探していたわけよ。
今までずっとBtoBのお客さんだったので、
お役に立てて良かったね。

今年で会社は80年。
今後のビジョンはどういったことを掲げられているんですか?

ガス会社も環境に優しいエネルギーを意識しているんだよね。
ビジョンとしては、
我々もいくらかでもその役割を担って、
世界の環境が良くなっていけばいいという想いがある。
社員にも言っているんだけど、
利益の中から盲導犬教会に寄付することもやっていきたいんだよね。
そのためにはお客さんから支持をされて
会社を100年続けていけるようにしていきたい。
利益を何らかの形で社員にも還元する。
それは社員にも話していて、
「儲かったら半分は会社の将来のために残すよ。
残り半分はみんなの給料に持っていて、
あとはその中の何%かを寄付できればいいよね」
今はまだそうなっていないけど、
そういう会社にしていきたい気持ちがあるね。
そのためには社員にもがんばってもらって、
我々もお客さんから支持されることを願ってやっていきたいね。

昔からその考えがあったわけじゃないんですね。

実は80年間、理念がなかったのよ。
ホームページを開設していく過程で
マーケティングの勉強を始めて
「うちの会社はどうあるべきか、この会社をどうしていくべきか」
ということを考えていた。
その結果、うちの会社は、
「スピードが速い、フレキシブルですぐやってくれる、小回りが効くこと」
が強みだとわかった。
ホームページを開設していく中で
そういった理念を作っていこうという経緯があった。

今回のインタビューのテーマは29歳に着目させてもらっているので、
その頃のお話をお聞かせください。

大学を卒業して電機メーカーの営業をやっていた。
最初は営業も初めての経験で何もわからなかった。
3年くらい経って営業のおもしろみが徐々にわかってきたね。
29歳の頃はだいぶ独り立ちして、
営業のおもしろさがかなりわかってきた頃かな。
29歳前後だと思うんだけど、
ある大手ロボットメーカーの注文をもらったの。
ある時、工場に行ったら、
「俺が注文を取ってきたものがここに流れている」
という成果が目に見えたわけ。
「あの時、苦労した注文がここの工場で働いている人たち糧になっている」
と最初に思った営業のおもしろみがその頃。
ただ注文を取るだけじゃなくて、
自分が動くことによって仕事が取れて、
そのお金で工場の人が食べられることができているのが良かったね。

当時は夢や目標を持っていたんですか?

その頃はサラリーマンだから、
役員になるとか、大体どこでもあるような夢だったような気がする。
その会社の中の小さな枠でしかなかったね。

その飛び出たきっかけは?

40歳の時に前の会社を辞めて松浦製作所に来た。
その当時課長をやっていて次長になる頃で
出世コースとしては乗っていたんだけど。
今の会社をやらないかと言われていたんだけど、
自分はずっと断っていたのよ。
あの当時、松浦製作所は社員が5~6人くらいかな。
前の会社は私がいなくても持つけど、
松浦製作所に行かなかったら、
社員の生活はどうなるのかと。
自分としては前の会社を辞めたくなかったんだけどね。
辞めないほうが楽なのはわかっているし、
松浦製作所は小さな会社だし。
まして、自分は社長をやったことがないわけだから。
すぐに社長ではなく営業を担当したんだけどね。
営業はやっていけると思ったけど。
まぁ、今思うと前の会社を出て良かったね。

どのような面でそう思われますか?

前の会社にいたら、
その会社の枠の中でしか動けなかったと思う。
変わったきっかけは、石原明さん。
石原さんの講演に参加したことで始まった。
石原さんは
「行動すれば次の現実」
という言葉を言っているの。
その言葉の通り、
行動したことで知り合う人ができた。
石原先生からソフトブレーンを紹介されて、
その勉強会でまた仲間ができました。
今度はビジネスコーチを受けに行くようになった。
ビジネスコーチで新しい仲間ができて、
どんどん輪が広がっていった。
今はあらゆる人とつながりがどんどんできておもしろいよ。
そのつながりができたのは今の会社に移ったから。

そのおもしろさの醍醐味を知ってしまうと
逆に大手企業が苦しくなってしまいますよね。

この間、たまたまある会に行ったの。
その会の飲み会で日経新聞の記者と一緒になったのね。
飲み会をしながら自分の近況を話すことがあるじゃない。
両親が田舎にいたけど、倒れてしまった話をしたの。
ちょうどその記者が帰って、
翌週、彼が書かなくてはいけない記事が
「親を呼び寄せて暮らす」
というテーマだった。
「宛木さん、この間あの話を聞いたんだけど、
そのテーマで記事を書かなくてはいけなくなったので取材していい?」
というメールが来たの。
で、取材してもらって記事になった。

ホントだ、載ってる!

9月16日の夕刊に載ったの。
自分は夕刊の記事をほとんど読んでいないんだけど、
日経だと読んでいる人がいるんだよね。
友達から「載っていたよね」というメールが来た。
世の中はつながっているなと思う。
つながるからおもしろいよね。
世の中はいろんなものがどんどんつながっていく。

つながりが見えてくるとハマっちゃいますよね。

前の会社を辞めて今の会社で、
自分がいろいろ行動したから新しい現実が生まれた。
ダメだと思わないで行動したから生まれたのよ。
それがずっと蓄積されてこの結果になったのがおもしろいね。

29歳、30代は行動が結果に結びつくとは思っていなかった?

まるっきり思っていなかった。最初、新聞で
『営業マンは断ることを覚えなさい』
という衝撃的なタイトルを見て、
セミナーを聞きに行くことから始まったの。
前の会社ならそういうニュースも見なかっただろうしね。
会社で遅くまで仕事をしてお酒を飲んで、愚痴って帰る生活じゃない。
そういう環境からは中々生まれないよね。
その頃は全然今のことなんてわからなかった。
私なんか40いくつでやり始めているけど、
今の若い人たちが仮に29歳くらいで始めたらすごいだろうね。
いろんなことが起きちゃうよね。
石原先生からソフトブレーンを紹介されて、
「eセールスマネージャー」を導入する時に、
講演で工藤さん(ソフトブレーン・サービス株式会社元社長、現・SSGホールディングス株式会社社長)と安川さん(株式会社ヤスカワ社長)の二人が話していたの。
「eセールスマネージャー」を導入してから、
たまたまソフトブレーンの下の飲み屋さんでその安川さんがパッと来たわけ。
向こうは知らないんだけど、「安川さん!」と声をかけたの。
「実はeセールスマネージャーの時に安川さんのお話を聞いたんですよ」
そんなことから知り合った。
他にはビジネスコーチを受けて仲間になった人が
偶然安川さんが、青年会議所で一緒だったり、
別の場所で同じく知りあっていたとかさ。
そんな人たちが何人も増えてきた。
動いている人はネットワークがどんどんつながってくるよね。
動かない人はまるっきりネットワークがつながらない。
それがおもしろい!

何か不思議な縁でつながっているんですね。

どこかでつながっているよね。
行動している者同士だからまたつながってくる。
行動していない人は絶対につながっていないの。
そういうことをわかったのもここ何年かだね。
実は安川さんや他のメンバーと
「日本ビジネスパートナー協会」を創って
7人くらいで理事をやっているの。
その場所が安川さんの会社。
中小企業はいろいろ大変なので、
例えば私の会社の顧客が1000人、
他の人の会社の顧客1000人を紹介し合ったら、
2000人に商品を紹介することができる。
それをやれば倍の市場として増えるよね。
紹介してくれた人に対して、
いくらかの紹介料じゃないけど、
協会を創って何%と決めてバックしてあげようよ。
お互いに商売になっていけばいいじゃないかって。

いろんなことにチャレンジされて取り組んでいらっしゃるんですね。

いろいろやっているね。
うちはBtoBだから「日本ビジネスパートナー協会」経由で、
すぐに注文が来ないんだけどね。
でも、それをやることによっていろんな人に機会が増えればいいかな。
全体のマスが少なくなっているのを仲間で取り合うのではなく、
少ないマスでお互い商売になるようにしていこうと。
気心を知った仲間でやっていく。
誰でもいいってわけじゃない。
50社くらいに厳選して我々がよく知っている
「あいつが紹介したんだから信用できるね」
という仲間で創っていく。

変な人を入れちゃうと大変ですもんね。

信頼関係が壊れちゃうからね。
審査も設けてやっていくよ。

29歳の頃、不安だったことや葛藤はありましたか?

29歳の頃は前の会社だけで考えれば、
ある程度仕事の内容とお客さんもわかって、
仕事がおもしろくなってきた時期だから、
結構ムリしていろんなことをやっていた時期かもしれない。
いろんな意味でおもしろくなっていた時期だと思う。
体力もすごくあるし、
人生がおもしろくなっている時期だから。

今までの人生経験で
すごくどん底だったという経験って何かありますか?

去年くらいの外的影響で経営をやってきて、
「潰れるんじゃないかな」と肌で感じたかな。
売上は落ちて経費は上がり、赤字にもなっていた。
「どうやって黒字に持っていくか」というビジネスモデルも見つかっていない。
徐々にネットの売上は増えているけど、
まだ屋台骨になるほど育っていないから、
こんなのが続いたらヤバいなって思ったね。

今は大丈夫なんですか?

今年は経費も下げて黒字で推移しているから。
逆にいい勉強だったよね。
何を下げなくちゃいけないかが見えたし。
去年は去年でいい勉強だったけど、結構大変だったね(笑)

~~~同行サポーターからの質問ターイム~~~
行動することが非常に大事かと思うんですけど、
私も先日会社を離れまして。
まだ先の見えない部分がある中で、
逆にやっていけないことはあったりしますか?

ネガティブな気持ちになっちゃうことが大きいよね。
明るい、元気な、素直という「明元素」言葉があるじゃない。
そして、動くことが大事。
データを見てもわかるんですよ。
訪問する回数と売上のデータが一致するので。
やっぱり、動くことだよね。
気持ちがポジティブじゃないと、
ネガティブな言葉だとネガティブになっちゃう。
ダメだと思ってもポジティブな気持ちでいないとダメだと思っている。
そして、何事もよく考える。
例えば、砂漠で遭難した時にコップに水が半分しかないとすると、
もうコップに半分しか水がないと思うか、
まだコップに半分も水があるかと思うか。
まだ半分も水が入っていると思っている人が生き延びるわけ。
去年も厳しい状況で自分の中でも苦しいんだけど、
「何か手があるよね、じゃあ、こうしよう」
とやって、今年は黒字になっていることと同じ。
確かに厳しいことはある。
そこであきらめてしまったら絶対にうまくいかない。

考え方がだいぶ変わりますね。

実は近々、1週間入院するんだけどさ。

(浅井・サポーター)えっ!

今日わかったんだけど。
それでも今の時期にわかってよかったよ。
早く手が打ててよかったなって、こういうこともあるしさ。
何事も気持ち次第じゃない。

会社という存在に関してはどういったお考えをお持ちでしょうか?

会社は1人じゃできないことがあるんだよね。
会社の大なり小なり関係なく何人か人はいるわけだから、
1人で成し得ないことを複数の人で何倍もできる、
それだけ影響力があるってことだよね。
1人でやるよりは2人でやったら2倍じゃなくて3倍の力を伸ばせるし、
3倍の影響力があるんだから、
それをできるだけ出せるのが会社にできると。
それができない会社がまだ多い。
うちもまだできないんだけど。
今みたいにポジティブに物を考えるとか、当然みんな価値観が違うので、
そのお互いに違う価値観を大切にしたうえで、
「会社の価値観は何ですか?」
ってことを話し合うとかね。
そんなことをやりながら一つのベクトルを合わせていくとか。
そのことによって、より大きな力を出せることがあって。
会社としてはより大きな力を発揮できるようにして、
それがまた還元できる大きな要素になるわけでしょう。
それをできるだけ一本化して大きな力になるようにするための
努力を今やっている感じかな。

今後、私も会社を運営していきたいと思っています。
一番大きなお金という要素があるんですけど、
お金を稼ごうと思ったらいくらでも方法はあるとしても、
「お金を扱う経営者としてこうあるべきだ」という価値観があるのであれば、
教えていただきたいです

さっき話したように人それぞれ価値観が違うんだよね。
価値観の中にお金、名誉とかいろいろある中でお金を選ぶ人もいる。
名誉を選ぶ人もいるし、俺の場合は家族とかね。
みんな価値観が違うから、
経営者もどこを一番にするかは人それぞれなの。
個人としてはいろんな価値観があるので、何とも言えない。
ただ、会社全体としてやる場合は何が大切かというと、理念かな。
その理念の中で一番大切な価値観が何かを
みんなで話し合って決めていく。
自分が決めて付いてこいというやり方もあるけど、
一番いいのは理念も含めてみんなが納得した上での価値観を共有化して、
どこを切ってもみんなが同じ価値観で判断できたらいいね、と思っているのよ。
そんな会社にしていきたいのね。

ありがとうございます!
~~~同行サポーターからの質問タイム終了~~~
では、当時29歳のご自身に向けたメッセージを色紙にお願いしています。

何事もこれだろうね。
結局、考えても進めないことがあるじゃない。
当然、事前に調べてやるけれども、
考えても何もしなければおしまいだから。
「よし、やる!」と決めたら、行動をして、
多少間違っていたとしても途中で変えればいいんだから。
一歩踏み出せなかったら何も始まらない。

ありがとうございます!


ママチャリで日本一周している経営者
■Profile:(2018年時点)
2007年から毎年分割でママチャリで日本一周を目指すこと11年目。ほぼ一周を終えつつ、まだまだ走り続ける口実をつくるべく、寄り道企画(四国八十八ヶ所編)を2017年から開始。人に「場を与え、繋げ、拡げる」を基本軸に、法人複数社の経営と一般社団法人1団体の理事として活動中。
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